魅力No.42


道の駅が担う新たな役割@道の駅つるた「鶴の里あるじゃ」

挑戦する人~一戸明彦駅長~

鶴田町の観光名所として

社会人になってから数十年、ずっとサービス業に従事していらっしゃった一戸明彦さん。一戸さんは浪岡と浅虫にある道の駅の経験を買われ、道の駅つるた「鶴の里あるじゃ」駅長に大抜擢されました。
売り場には多量多品目の野菜や果物が並び、焼きたてのパンや豆腐、アイスなどの加工品と目移りしてしまうほどの品揃えです。私たちが伺ったのは平日にも関わらず、観光バスが次々と到着していました。休日ともなれば、売り場にめいっぱい並ぶ野菜も午前中に完売するという盛況ぶり。鶴田町の観光スポットとして大成功している道の駅つるた「鶴の里あるじゃ」は、実はもう一つ、あることでまちおこしの先進事例として全国的に有名になっています。

一戸駅長の挑戦

特産品販売のほかに駅長が力を入れたのは、地産地消率のアップです。その一環として、道の駅つるた「鶴の里あるじゃ」は、敷地内に加工設備を設けました。数多くある商品の中でも、特に品揃えが充実している「テンペ」は、生産から加工、販売まで手掛けられています。これほどまでに一貫した取り組みは、東北地域では鶴田町だけ!
「テンペ」は、インドネシアの伝統的な発酵食品で、ゆでた大豆にテンペ菌を加え、約30度で20~24時間ほど発酵させて作ります。納豆や豆腐と同等またはそれ以上の栄養分が含まれています。2005年には血糖値が下がるという研究結果(岡山大グループ)も実証され、近年注目を集めている健康食品の一つです。
原料となる大豆は地元産にこだわり、道の駅つるた「鶴の里あるじゃ」が年間に使用する量を農協からあらかじめ買い取っています。これにより、農家は販路が確保され、出荷量・価格ともに安定するため、生産しやすい環境になりました。生産量の増加に伴い、駅長ほかスタッフは商品開発に励んでいます。いろいろなテンペ商品があり、その中から私はラクトアイスの「テンペチョコ」を食べてみました。クランチチョコのようなテンペのさくさくした食感と歯ごたえが、くせになりそうです。

学校給食への納入

道の駅つるた「鶴の里あるじゃ」は、テンペの開発とともに、学校給食の納入も始めました。鶴田町の納入業者選定方法が入札方式のため、地産地消率よりも、コストが重要視されてしまいます。一般的には採算が取れずに、どこの自治体でも地元産の納入は難しいのが現実だそうです。しかし、「鶴の里あるじゃ」は、道の駅の収益部門とトータルで採算を取っているため、小・中学校の生徒に鶴田産を提供できるのです。
現在はお米、おからで作った味噌が主な納入品ですが、小麦の生産体制もすでに整っていて、鶴田産小麦100%のパンも作っています。道の駅内のパン屋さんで販売されているのも、「ゆきちから」という品種の小麦粉を使ったパンです。まだ召し上がっていない方は、ぜひお試しください。

「鶴の里あるじゃ」のこれから

県内外から様々な視察客が訪れる道の駅つるた「鶴の里あるじゃ」。一戸さんは駅長として多忙な日々を送る中、加工品の開発について各地でアドバイスするコンサルティングも行っています。駅長が考える、これからの課題について聞いてみました。
「りんごも同じ。ジャムやジュースの一次加工だけではダメで、これから大事なのはひと工夫して二次、三次の加工品で売上を上げること。りんごジュースだって、5ミリカットの果肉を入れるだけで全然違うでしょう」と話してくれました。テンペは、パンフレットに載っているだけでも10種類以上の食べ方があります。「ポイントは、野菜として考えること」だそうです。
生産から加工、商品開発、そして食べ方の提案まで、一つ一つの取り組みが実を結んだからこそ、新しい展開が生まれてきました。オールマイティに活躍する駅長は、まさに鶴田町のプロデューサー的存在。可能性あふれる道の駅つるた「鶴の里あるじゃ」から、これからも美味しく楽しい新商品が生まれてくるだろうと期待がふくらみます。

道の駅つるた「鶴の里あるじゃ」
青森県北津軽郡鶴田町大字境字里見176-1
TEL:0173-22-5656

***営業の案内***
4/16-8/31 9:00-19:00
9/1-4/15  9:00-18:00
※農産物販売室、レストランを除く
休館日 1/1

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