私にとって、小さな頃から親しみがあり、日常生活とは切り離せない存在である
地元紙デーリー東北。現在の発行部数が10万5千部であり、八戸市での普及率が
75%を超え、まさに地元民から愛される新聞紙であり続ける理由を知りたいとの
思いで、取材させていただきました。
お話を聞かせて頂いたのは、(株)デーリー東北新聞社 総務局次長 深川公夫さん。
戦後、間もなくに設立された新聞社
当社は、八戸地域の先駆者が立ち上げに尽力し、終戦間もない昭和20年12月10日に
創刊されました。戦後には、全国各地に多数の新聞社が設立されましたが、その当時
設立された新聞社で、現在まで残っているのは全国でも数えるほどしかありません。
地域とともに歩む
八戸地方の経済成長とともに順調に発行部数を伸ばし、平成6年には10万部を
超えましたが、やがて全国的な情勢の影響などにより、八戸地方の経済にも暗い影が
訪れています。しかし、いつの時代も先行き不透明であったことには違いがありません。
好景気と言われている時期も、あとから振り返った時にそうであったということに過ぎず、
その真っ只中にいた人間にとって、不安がなかったわけではありません。
だからこそ、現在の状況に悲観せず、知恵を結集させ、この地域とともに次の時代へ
向かう力になる必要があると考えています。
地域の人々の活力となれるように
当社では、その力の一つとなれるよう、北奥羽地域の文化、産業、経済、学術、
スポーツなどの各分野で優れた功績があった個人・団体に贈られる
“デーリー東北賞”や、毎年5月の母の日に行われている“うみねこマラソン全国
大会(うみねこマラソン)”といった活動を行っています。
第1回目の参加者が500名であった“うみねこマラソン”も、地域の方々の協力
により、現在では5000名以上の方に参加して頂けるようになりました。
参加者が増える一方で、安全確保という課題も大きくなっておりますが、地域の
方々が参加しやすい大会という当初の目的のためにも、また、この大会を目標として
日々を送っている方々のためにも、安全確保に最善を尽くし、より良い大会にして
いきたいと思っています。
新聞の力=人間の力
デーリー東北新聞社内に掲げられている、新聞乃力という書。
この書は、当社の想いが込められたものであります。新聞の力とは、人の力であります。
例えば、どんなに素晴らしい車でも、運転する人間次第では事故を招いてしまう。
それでは、素晴らしいことにならない。運転する人間次第で、凶器になるか、はたまた
素晴らしいものになるかは決まる。
何でも結局は人である。だからこそ、人間力を磨かなければならない。
みんなに愛される新聞を創るためには、
みんなに愛される人間でなければならない。
責任を心に~sdu編集後記~
来年(平成23年)は、デーリー東北賞が第40回、うみねこマラソン全国大会が
第30回大会という節目の年なのだそうです。地域貢献を続けてきた結果が、
この回数に表れ、そしてそれを励みに生活をしている人がその回数のぶんだけ
存在してきたということでもあります。そのことを理解しているからこそ、活動を
継続して行っているんだと感じられました。
責任
責任。その言葉が、この取材を通じてのキーワードだったような気がします。
“うみねこマラソン”で言えば参加者の安全確保という責任。また、地域とともに
歩んで行く、という責任。そして、情報を発信し続ける者としての責任を“人間力”
という言葉に感じることができました。
深川さんから発せられる言葉のすべてに、“責任”が込められていた気がします。
その責任の積み重ねこそが、デーリー東北さんが、地域のみんなに愛され
続けている理由なのだと感じました。
DATA
株式会社デーリー東北新聞社
八戸市城下一丁目3-12
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