魅力No.407


私はこの町から見上げる空が好きです

長年、八戸市十三日町商店街振興組合を通じて、
八戸中心街のまちづくりを行ってきた橋本精二さん。
青森県内でもいち早く、商店街として電線地中化に
取り組むなど、精力的に活動してきたその想いを
聞いてみたく、今回取材をさせて頂きました。

八戸市十三日町商店街振興組合 理事長 橋本精二さん。

八戸に生まれ、八戸育ちだから八戸への想いがある。

郷土が良くなっていく事を願わずにはいられない。

 

不便から快適へ

中心街が混雑していて不便だという声をよく耳にしました。
その言葉を聞いたときに、車道が狭くて不便なのだろうと思っていましたが、
詳しく話を聞いてみると歩道が狭いために不便だという声のほうが
圧倒的に多かったのです。歩道を広げることで、来街者に満足して頂きたい
との想いから、電線地中化を進めることにしました。

想いがつながって

電線地中化を進め、歩道を整備するという事の他にも、都市計画によって
道路も広げなければならないという問題がありました。各商店さんの土地が
狭くなってしまうという事実に悩む気持ちもありましたが、それでも来街者の
満足を得るためには商店街が協力をしなければならない。
その想いで説得をして回りました。
その結果、3か月という短期間で話をまとめることできました。
そして、青森県でもいち早く、平成3年に工事を開始することが出来たのです。
皆が理解し、協力してくれた結果が、現在の街並みへとつながっているのです。

電線地中化によって、緑が映える街並みとなっている。

八戸地域の人々を元気づけたい

終戦から間もない昭和26年より、中心街で行われてきた“八戸七夕まつり”。
当時、八戸地域には夏祭りがなく(※1)、「八戸地域の人々を元気づけたい」
「楽しみとなるものを作ってあげたい」との想いから、故橋本忠吉氏を中心とした
中心街の人々が仙台七夕まつりの協力を得て開催された。
その“八戸七夕まつり”が、現在まで続いている理由は、
立ち上げた当時の人々の想いを受け継いできたからである。

※1 現在、7/31~8/4に行われている八戸三社大祭は、元々は9月に開催される秋祭りであった。
※2 現在、“八戸七夕まつり”は、毎年7月第3週の金曜日から4日間開催されている。

 

380年に渡って、八戸城下として政治・経済・文化の役割をになってきました。

全国的に広がる中心街の空洞化

大きなショッピングセンターやナショナルチェーンのお店の進出といった、
大きな幹線道路沿いが賑わうロードサイドビジネスにより、
全国的に古くから続く中心街の空洞化が進んでいます。

 個人的な問題ではない

一昨年まで、17年連続で地域型共通商品券の発行額全国1位を誇る
“はちのへ共通商品券”や、中心街の駐車場の利便性を上げるための
“八戸中心商店街共通駐車券”の発行といった地域経済への振興活動
も行ってきました。

八戸中心街では“八戸えんぶり”や“八戸三社大祭”といった祭事などの、
文化・伝統といったものが受け継がれてきました。また、それらを
受け継いできた結果として、地域のコミュニティが形成されています。
この中心街が廃ることで、コミュニティが崩壊し、
文化・伝統が消えてしまうことは避けなければならない。

中心街の崩壊は、商店主や関わっている人たちの個人的な問題ではないのです。
個人的な利益のためではなく、文化・伝統・コミュニティを守っていくことが、
私たちの使命であります。

私はこの町から見上げる空が好きです。

 

あたたかいつながり~編集後記~

スポーツ振興 

橋本精二さんは、長年のスポーツ振興への功績が認められ、
平成22年春の叙勲にて旭日双光章を授与されました。
ご自身が、大学レスリングで日本代表としてご活躍された経験から、
八戸のレスリングを中心に、スケートなどといったスポーツ振興に
尽力されてきました。
八戸のレスリングと言えば、伊調姉妹や坂本姉妹が有名ですが、
その礎となった“八戸ちびっこレスリング教室”を昭和49年に創設し、
また、青森県レスリング協会の会長職や副会長職を40年務めて
こられました。スポーツとは、青少年が心身を鍛え、人間性を豊かに
するためのものであるとの想いから、現在は、“青森体育協会
副会長”“青森県レスリング協会顧問”を務めておられます。

伊調姉妹や坂本姉妹の活躍は、もちろん嬉しいのだそうですが、
活躍そのものよりも、常に謙虚で、相手を敬うことのできる人間性に
育っていることがとても嬉しいのだそうです。

先人の想いを自分の想いと重ね合わせ、郷土の発展のために
ご尽力されてきた、橋本精二さんのこれまでの歩みを知りました。
文化・伝統を守りたいという気持ちは、次世代のことを考えなければ
生まれない発想です。
“八戸七夕まつり”や“電線地中化”や“スポーツ振興”なども、
次世代のための活動であり、私たちの先輩方がつないできた想いです。

そんな、温かなものに常にふれられているという事実を忘れないように、
感謝をし続けていきたいと思います。

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