魅力No.652


2010 津軽の食と産業まつりレポートその1:成田農園と和徳歴史探偵団

魅力No.647の記事でお伝えした、「津軽の食と産業まつり」について、これから数回にわたって詳しくレポートさせていただきます。今回は、成田農園さんと和徳(わっとく)歴史探偵団さんについてのレポートです!!

受け継がれる伝統 新しく創造される味

田舎館村で農業を営む成田農園さんのブースで目を引いたのが、こちら。


「伝承」と名付けられた、このお米は、青森県内で唯一「植酸農法」という技術を用いて栽培されたものです。
植酸農法とは、植物自身がその根から分泌する有機酸に与えることで、化学肥料を用いずにその植物の持つ力を十分に引き出し、病害虫に強い作物を育てる農法を指します。稲に植酸を散布するには大変な時間と手間がかかるため、全国的にも非常に珍しい農法であるといいます。
成田農園さんでは、もともとトマトの栽培にこの農法を用いていたそうですが、ある時期から米の栽培でもこの技術を用い始めました。結果は大成功。成田農園さんで生み出されるブランド米「つがるロマン 伝承」は、第9回全国米食味分析鑑定コンクールにて、特別優秀賞を受賞したのです。
実際私も試食させてもらいましたが、「冷えてもおいしいです」というアピールの言葉通り、お米の味と香りがしっかりとしていました。それにしても、「伝承」という名前の由来は?と疑問に思った私は、農園主の成田貴久さんにお話を伺ってみました。
いわく、今年で22歳になる息子さん(裕一さん)が、正式にこの農園を継ぐ、と決意されたことの嬉しさが、その名前の由来だとか。

「どこの農家も、今は後継者不足で参っています。自分の息子が、農家を継ぎたい、と言ってくれた時、私が父から受け継いでここまで頑張ってきた農園がさらに受け継がれていくことが、何よりも嬉しかったのです」
さらに貴久さんは、息子さんに、ただ伝統を受け継ぐだけではなく、何か新しいことをやってみなさい、と勧めたそうです。
そこで、農大では食品加工を学んだという裕一さんはその知識と経験を生かし、この「こめ粉」を開発。

本来であれば捨ててしまう、形の悪い米、小さな米などを製粉したもので、これからケーキや唐揚げ、お好み焼きなどを作ることができるのだそうです。というわけで、私もこの「こめ粉」を使ったお好み焼きをいただいてみました。

ただの小麦粉を使ったお好み焼きに比べて、生地がふっくらとしていてしかも甘みがあります。お料理好きの方には、いろいろな場面で重宝しそうな一品かと思われます。

父から子へ、子から孫へと重ねられてきた、農業への思いは、そこに新しいモノが加わることで、より強靭になり、さらに次世代へと受け継がれていくのでしょう。成田農園さんのお話を伺い、そんなことを感じました。

「ちくしょう400年」の言葉に秘められた、けの汁の歴史


この、インパクトのある「ちくしょう400年」の言葉は、和徳歴史探偵団さんのブースのもの。弘前市和徳町内の皆さんが参加されているこの団体では、「和徳町こそ、けの汁発祥の地である」と高らかに宣言されておられます。
なんでも、かつて和徳の地には、和徳城というお城があり、小山内讃岐守(おさないさぬきのかみ)という殿様がおられたそうな。

ところが今から440年前、津軽為信により和徳の城は奇襲を受け、無念にも小山内讃岐守は打ち取られ、城は落とされてしまいました。その戦いの折、城内を守っていた兵士たちにふるまわれたのが、残った野菜を細かく刻んで煮た「けの汁」だったとか……。
もちろんこれは、一つの言い伝えです、と和徳歴史探偵団さんはおっしゃいますが、この話をもとに毎年6月9日、和徳稲荷神社の宵宮では無料でけの汁の振る舞いが行われている、とのこと。
そして、来る来年、弘前城築城400年祭りにむけて、和徳歴史探偵団では、かつての殿様たる小山内讃岐守の無念を表すために「ちくしょう400年!!」を合言葉としているのだそうです。
マスコットキャラクターとしても、たか丸くんに負けじと、「わっとくん」が誕生しました。

Tシャツやストラップ、どら焼きなど、グッズも充実。


とはいえ、もう400年も昔ことですし、わっとくんとたか丸くんには、ぜひ協力しあって地元の活性化のために活躍していって欲しいものです!!
和徳歴史探偵団の皆さんも、これからも和徳町とけの汁の盛り上げに、ぜひ頑張ってくださいね!!

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  1. ピンバック: 2010秋のキャラんどの魅力 || 青森キャラんど.com (編集)

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