魅力No.1991


いのち輝く豊年まつり(下)「八戸えんぶり2012(命のともし火編)」

いのち輝く豊年まつり(下)からのつづき≫

「あの日」からちょうど一年が経った「平成24年3月11日」

私は蕪島にいました。

東日本大震災で犠牲になった方々の追悼行事

「はちのへ弥生灯火会(やよいとうかえ)」を撮影するためです。

昨年4月に来た時は姿を消していた「海の営み」も復活していました。

津波で陥没したトイレ棟も復活!

こちらはガレキを再利用して作られた「再生の樹」
ライトアップが楽しみですね。

この日は、あいにくの曇り空に加え、強風と寒さがハンパではありませんでした。
軒を連ねた屋台に「呑兵衛センサー」が反応します(笑)

美味しそうなおでん!…お酒、ほしいなあ(アンタ、車でしょッ!)

例によって、どんな催しがあるかアバウトにしか把握していなかった私。
屋台を横目にのんびり歩いていたら、すでに特設ステージで
「えんぶり」が始まっていました!

走ります!!

これはデジャヴ?

前にも、その前にも見たような「すでにご覧の人だかり」のシチュエーション。

おまけに、脚立も準備してません…
ここでも「学習能力の低さ」を存分に発揮!(笑)

 

しかし、いつもの「パパラッチ作戦」で撮ります!

相変わらず子どもたちが輝いていました。

 私にとって、「えんぶり」が好きな理由のひとつが
この演目の合間にあるMC。

演目を解説する軽妙な「南部訛り」が心地よく、
ユーモアの中に子どもたちに対する厳しさ、そして愛を感じます。

「皆さん、元気ですかあーッ!!」

「…元気で~す」

(…ガックン)

追悼行事のためか、いまひとつだった会場の反応に
おもわずズッコケ(笑) しかし、自身も震災被害を目の当たりにした体験とともに

「子どもたちの未来のためにも、震災に負けず地域を元気にしていきたい」

と声を詰まらせながら話す姿を見て、胸が熱くなりました。

そして、それは

「悲しみを隠し、誰かの笑顔のために頑張っている人たちがいる」
と、あらためて実感した瞬間でもありました。

そんな決意を象徴するかのように

いっそう力強く感じられた

太夫の皆さんの

「魂の舞い」に

いっそう心が熱くなりました。

 こうして、すべての演目が終了。

「あの刻(とき)」が刻一刻と近づいてきます

 

「父ちゃん!」、「母ちゃん!」
届かなかった「声」

「爺ちゃん!」、「婆ちゃん!」
つかめなかった「手」

「兄ちゃん!」、「姉ちゃん!」
放してしまった「手」

そして…

「私はいいから逃げなさい!」
「早く高台に逃げてください!」
身内や多くの命を救うため、自らを犠牲にした人たち…

数え切れないほどの命が、無慈悲にも飲みこまれた

「平成23年3月11日」

あれから一年経ったいま、生かされた人たちは、悲しみに暮れながらも
新たな一歩を踏み出そうとしています。

先ほど素晴らしい舞いを披露したえんぶり組の皆さんも加わり

一分間の黙祷が捧げられました。

正直なところ、黙祷を続けるべきか撮影するべきか悩みました。

被災した皆さんの本当の苦しみは、直接被災していない私にはわかりませんし
ここにいるのは単なる「自己満足」かも知れません。

しかし、いまの自分の役割は

今しかない「この場」を伝えること

と思いなおし、10秒間黙祷してから撮影させていただきました。
(不安定な足場で目をつむり、バランスを崩しかけたのはナイショです)

平成24年3月11日14時46分

この刻(とき)

復興への願いで全国の心がひとつになりました

黙祷が終わった後は「バルーンリリース」

震災復興をはじめ様々な願いが書かれたバルーンを手にした人たちで
会場が明るい雰囲気に変わっていきました。

なお、バルーンを持つ太夫さんのレアな姿は撮ることができず(笑)

一斉に放たれた無数のバルーンが一点に吸い込まれるのを見て
「願いは天に届いた」と確信しました。

 この後は、司会も務めていたトリオ☆ザ☆ポンチョスさんたちの
復興ライブなどが催され、昼の部が終了。

 

冷えきった体を(主におでんで)温めた後、夜の部へ

会場では、子どもたちが3700個の置灯ろうひとつひとつに火を灯していました。

 

夜の部の最大の見所は

蕪島前に浮かび上がる「灯」の字と1000個の「流し灯ろう」

会場誘導をしている警備員さんから

「流し灯ろうは、ある程度流れて消える仕掛けになっているんですよ」
(もちろん大好きな南部のイントネーションです)

と聞き、見る前から心の琴線および涙腺がはじけそうです。

子どもたちの合唱ステージが涙腺崩壊に拍車をかけます。

夜は深まり…

蕪嶋神社の眼下に現れた「灯(ともしび)」の字

そして、灯ろう流しが始まりました。

遠くまで流れていくもの、半ばで沈んでしまうもの…

それぞれの輝きを放ちながら流れ、そして消え去ってゆく灯ろうたちに
「泡沫(うたかた)の人生」を重ね合わせます。

その一方で

「あ~!また消えちゃったよ~!」

強風で灯ろうが消えるたびに火をつけて回っていた子どもたち。
中には半べそをかきながら頑張っていた子も…

流し灯ろうを近くで撮影するため移動するつもりでしたが
その健気な姿に足が止まりました。

倒れては起こし、消えては点ける

この子たちがいなければ、この「ともしび」の字は完成しなかったでしょう。

このあきらめない気持ちこそが
復興を支え、明るい未来を照らす「ともしび」なのかもしれません。

 

被災状況は宮城県や岩手県、そして福島県などと比べものにならないとはいえ
青森県もれっきとした被災県です。

震災を乗り越え

息づく伝統と豊かな食文化、そして温かい心で
訪れた人々の心に火をを灯す

そんな「ハートのある場所・あおもり」であり続けてほしいと願いつつ

帰途につきました。

 

「ともし火を まもり続ける 子どもらの
いのち輝く 豊年まつり」 

 

青森県八戸市鮫町鮫

(撮影した場所)

 

 

なお、余談ですが… 

 

 前日に呑んだくれていたことはナイショです(笑)

八戸の皆さん、ありがとうございます!

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