HIROSAKI甘味旅
大阪屋が作り続ける感謝の和菓子
弘前市本町にある、風格を漂わせたお店、大阪屋。
大阪屋は寛永7年(1630年)に創業し、約380年の歴史を持つ東北でも指折りの老舗の和菓子屋です。
金色に輝く看板を始め、お店に入った瞬間タイムトリップしたような感覚が味わえます。
大阪屋の歴史
もともと大阪屋の初代のご主人は、豊臣家の家臣でした。
大坂冬の陣、夏の陣で豊臣家が徳川家に敗れてほろんだことをきっかけに、縁故を頼り、弘前の地に訪れたそうです。
その後大阪屋を創業し、津軽藩御用達の御菓子司として仕えたとされています。
今でも店内には、津軽家の家紋である牡丹(螺鈿細工)が彫り込まれたたんすにお菓子を入れて販売しています。
職人が守り続ける究極の和菓子
「竹流し」(たけながし)
さかのぼる事240年ぐらい前、4代目が安永2年(1773年)に作り出した、ほのかな蕎麦風味とパリッとした食感の、素朴の中に品を感じる煎餅です。
昔ながらの竹流しは、機械では作れないので、すべて手作業。
なので一枚一枚の形が違う、手間暇かけた上品な御菓子なんです。
「冬夏」(とうか)
一口食べると、軽くふわっとした感触が口の中に広がる、今まで食べたことのない、大阪屋だけの味です。
冬夏の製法は、すべて手作業なので種を仕込んでからは、3~5か月。
手間と時間をかけた職人さんの懇親の御菓子といえるでしょう。
一般的には、かるやきと呼ばれています。
冬夏という名前の由来は、「冬の陣、夏の陣を忘れてはならない」とご先祖の思いから命名したそうです。
380年という長い時を経て今なお、先祖の思いが込められた名前のお菓子が売られている、ということに、老舗の職人魂を感じます。
大阪屋13代目 福井清さんにインタビュー
そんな大阪屋の味を守り続ける13代目、福井清さんにインタビューしました。
福井さんの今迄の経歴は?
「私が子供の頃はお餅で遊んでいましたね。
大学は千葉に行き卒業後、京都の亀屋清永で4年間修業しました。
その時は下積み時代をずっとし、初めて自分で仕上げた和菓子がお店に並びお客様に購入していただいた時の嬉しさと言ったら忘れられません。4年間の歳月を経て青森に帰郷し、その後は先代の元でずっと修業させてもらいました。
今の自分があるのは先代のおかげですし、感謝の一言では言い切れないぐらいですね。」
大阪屋が長く続いた秘訣は?
「特別新しい何かをするのではなく一つ一つ手作業だったりと昔のままの同じ味を作る。
その懐かしさを求めて長年に渡ってお客様が訪れる、これが大阪屋です。」
これから挑戦していきたいことは?
「よく新商品を出してほしいと言われるのですが、私が試みているのは、先代達が受け継いできたレシピ本に書かれてある今は作られていない和菓子を復元することです。
昔の和菓子を復元していくのは容易なことではないのですが挑戦していきます。」
人が求める魅力
昔からの味を守る為に時間を惜しまず手作業で丹念にお菓子を作り上げる老舗大阪屋は、
長い歴史と伝統に裏付けされた味を楽しむことができる数少ない、弘前の和菓子屋の名店です。
その味を求め大阪屋の暖簾をくぐるお客さんは、後を絶ちません。
私は、福井さんにたくさんの魅了するお話をお聞きしました。
中でも特に感動したことが3つあります。
一つ目が、大阪屋が作り出すお菓子。
今回ご紹介した大阪屋伝統のお菓子は、シンプルな見た目とは裏腹に、どれも口に入れた瞬間、食べたことのない感覚と、職人が丹精込めて作った味。
これが本物の一流職人が生み出す本物の味なんだと肌身で感じ感無量でした。
二つ目が福井さんの手です。
細かな作業から力仕事までを長年こなしてきた福井さんの手には、和菓子に対しての苦労と愛情が伝わってくる。そんな職人の暖かい手をしていました。
そして、最後は、「感謝。感謝」と口癖のようにおっしゃっていた福井さんです。
何事にも常に感謝の気持ちを忘れない。
そうおっしゃっていた福井さんの言葉が取材した後も心に深く残っていました。
こんな福井さんの心から謙遜する気持ちがお菓子となってたくさんの人を魅了するのではないのだろうか、と私は思います。
・お問い合わせ
住所/弘前市本町20
電話番号/0172-32-6191
営業時間/8:30~18:00(日曜日8:30~17:00)(盆・正月は、~15:00)
定休日/元旦のみ
駐車場/2台
地方発送/可能
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