魅力No.1527


「大鰐温泉もやし」地域に愛される、伝統の地物野菜 もやし農家「山崎さんご夫妻」 ~青森県大鰐町~

山崎さんご夫妻

2011年1月27日、「大鰐温泉もやし」を栽培していらっしゃる「山崎さんご夫妻」にお話を聞けたので、そちらをレポートいたします。「大鰐温泉もやし」とは、大鰐町特産の冬の地物野菜です。現在、このもやしを栽培している農家は数件しかありません。
旦那さんの山崎 光司さんと、奥さんである綾子さんのお二人で伝統の「大鰐温泉もやし」を受け継いでいらっしゃる数少ない栽培後継者農家のご夫妻です。
「山崎さんご夫妻」は、主に冬期間「大鰐温泉もやし」の栽培をしていらっしゃいます。夏はお米と、畑作によるもやし用の大豆の栽培、及び少量の「大鰐温泉もやし」の栽培をしていらっしゃいます。夏は、お米と畑作・もやしの栽培が重なるので、もやし栽培にかける時間が少ないそうです。よって夏場の「大鰐温泉もやし」の収量は少なく、市場でも余り見かけないために、「大鰐温泉もやし」は冬しか採れないと思われがちですが、実は通年で栽培していらっしゃいます。

豆もやし

 「大鰐温泉もやし」とは、

大鰐町の在来種である豆を使用し、350年以上も前から栽培されています。長さは、根も入れて約40cm位と、とっても長身に育ちます。
江戸時代には、冬の味覚として津軽藩主に必ず献上されたと伝わっています。
豆もやしと、そばもやしの二種類があります。
写真は、豆もやしです。シャキシャキとした歯ざわりが特徴で、みそ汁や豚汁または油炒めにすると美味しいです。「小八豆」という品種をタネにして作ります。

そばもやし

こちらの写真は、そばもやしです。いく分細くおひたし等にしていただきます。
「階上早生」という品種をタネにして作ります。

「大鰐温泉もやし」は、カルシウム・リン・鉄分等のミネラルやビタミンB・C・E等が、普通の水耕栽培のもやしより豊富です。発芽する事で大豆の時よりも栄養素が、約2倍近く増加されるそうです。
ローカロリーで栄養価の高い「大鰐温泉もやし」は、冬に野菜が採れない津軽では貴重な生野菜でした。以来、地域の方々に愛される冬の味覚です。
津軽地方でもそれほど知名度が高くなかった理由として、日持ちが余りしないために、気温が下がり寒くなる冬に地元大鰐町周辺だけで販売・消費されてきた理由があります。

もやしの収穫1

「大鰐温泉もやし」の門外不出な栽培方法

栽培の秘訣は、温泉もやしの名の通り温泉が栽培課程で使用されている所にあります。
写真は、収穫時に「サワ」と呼ばれる土床の中の栽培床を開ける所です。
この中に、もやしが栽培されています。土床の中には、温泉水を通すパイプが張り巡らせてあり、もやしが育つ環境を30℃の温度に保っています。

もやしの収穫4

開けてみると分りますが、外気より暖かいので湯気が上がっています。
もやしから上がっているのではないのです。(だったら調理済じゃないか…)
水耕栽培と違い、このもやしは土耕栽培です。土に大豆を直接蒔きます。
もやしは光があたると光合成によって変色してしまうため、深夜「サワ」に温泉をかけて発芽を促す作業をします。作業小屋は、収穫時以外は真っ暗です。
四日ほどで発芽します。もう一度温泉をかけて、全行程一週間ほどで収穫となるそうです。

もやしの収穫9

温泉に含まれるミネラル等が、もやしの成長を更に促す訳です。
健康なもやしは、長さも均一に「サワ」の深さ40㎝近くまで育つので、立っています。
「サワ」内の温度管理に気をかけ、全てのもやしが均一に育たないと、写真のようにもやしが立っている状態にはならないのです。

もやし掘る場所

写真は、ただの穴…ではありません。
土耕栽培において土は、もやし成長の大事な栄養源です。
一度栽培に使用した土は、その年はもう使用できません。成長に必要な栄養分を、もやしが全て吸い取ってしまう為です。
そこで使用した土は、まとめてこの穴で管理し温泉をかけて土の栄養分を補給して、一年後また使用できるようにするそうです。
右側は、今年使用する土を採取する穴です。

もやしの収穫11

収穫時スコップで土ごと、ごっそりもやしを取ります。そして藁(わら)でひとくくりにします。

もやし洗う温泉

ここから奥さんの綾子さんが、「大鰐温泉もやし」の大事な「温泉締め」という作業をなさいます。土の付いた、もやしを暖かめの温泉水で洗い土を落とします。(少し暖かい方が落ちやすいそうです)

そばもやし洗うところ

更に冷ました温泉水で締めることで、シャキシャキした歯ざわりが実現します。
以上の様に、温泉と土しか使用していませんから、本当に無化学肥料・無農薬の食品です。
味も、土の味のする濃い野菜の味です。

光司さん曰く、「大鰐温泉が無臭の温泉で少し塩っけがある事が、このもやしの味の特徴」とのこと。食品に使用してもクセがつかない温泉と、大鰐町在来の大豆を使用することで栽培される「大鰐温泉もやし」は、大鰐町でしか作ることができない特産品なのです。

大鰐町の朝

写真は、朝の大鰐町です。
「大鰐温泉もやし」の収穫等の作業は、朝5時頃から行われております。
朝に採れたものが、お店に並びその日の夕方に食卓で消費されます。新鮮なものを新鮮なうちに地産地消するというサイクルが、昔から伝統的に行われてきているのです。

「大鰐温泉もやし」のおすすめの食べ方

左から、「大鰐温泉豆もやしと人参の子和え」
真ん中は、「大鰐温泉豆もやしの生姜醤油漬け」
一番右が、「大鰐温泉そばもやしのおひたし(酢醤油・ポン酢でいただく)」
です。どれも「大鰐温泉もやし」の味が存分に味わえる料理です。

大鰐町出身のうちの母曰く「大鰐温泉もやし」の味の特徴とは、
「おいしいきゃ、シャキシャキしてぇ~」
(もっとこう、味が濃いとか…いろいろ評価して欲しかった…)
地元の方々には老若男女を問わず、この癖のない味のシャキシャキ感が大人気なのです。

「大鰐温泉もやし」の調理のポイントとしては

「豆もやし」は、豆部分ともやし部分では火の入り時間が違います。炒めるにしても、ゆでるにしても豆部分を先に1分位加熱することが良いそうです。(母曰く)
そうすることで、発芽している大豆独特の少々のクセを消すことができるそうです。
「そばもやし」は、黒い「階上早生」の部分をひたすら取ってください。美味しいものを食べるには、地道な下準備も必要です。

◇◆「大鰐温泉もやし」が食べたい方におすすめ◆◇

鰐カム

大鰐町地域交流センター 湯の駅『鰐come(わにかむ)』

こちらの施設内のお食事処「花りんご」様にて、「大鰐温泉もやしそば(700円)」「大鰐温泉もやし炒め(500円)」「大鰐温泉もやしサラダ(500円)」の提供をしていらっしゃいます。
是非、訪れていただいてみてください。

お食事処「花りんご」
11:00~15:00(ラスト・オーダー14:30)
土日祝日/11:00~19:00(ラスト・オーダー18:30)

お土産コーナーでは、入荷状況にもよりますが「大鰐温泉もやし」を一束(300g)230円にて販売しております。袋入り(不揃い)は少し量が多めの340g入りで、こちらも230円です。冬の期間以外は、ご購入が難しい限定品です。
是非、訪れて「大鰐温泉もやし」をお土産にいかがでしょうか。

お土産コーナー
平日/8:00~18:00 土日祝日/8:00~19:00

湯の駅『鰐come』

大浴場/9:00~22:00
入浴料金
個人 一般 大人 500円 小人 250円
町民 大人 300円 小人 150円
団体(15名様以上) 大人 400円 小人 200円
家族風呂 (はぎかつら/かわせみ) 1時間 1,500円

電話:0172-49-1126

『鰐come』様のホームページはこちら、
http://wanicome.com/

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「大鰐温泉もやしラーメン」を食せる、地元に愛される大衆食堂は?「山崎食堂」等 ~青森県大鰐町

かっちんさんの投稿
大鰐温泉もやしそば』 in大鰐町「鰐come」
『津軽藩御用達「大鰐温泉もやし」

湯の駅『鰐come』の位置はこちら、

青森県南津軽郡大鰐町大鰐川辺11−11

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