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20代で起業した青森を代表する起業家対談

浄法寺今日は20代で起業した青森を代表する若手経営者との対談、楽しみにしてきました。対談テーマは「青森の魅力」なのですが、まず聞きたいのが「自社の魅力」についてです。これから起業したい方や地域づくりに興味がある方にとってこのメンバーは先駆者になりますし、各々の会社はとがっていて読んだ方も面白いと思うので。

ーーそこで一つ目の質問ですが、起業するとき、どんな会社を創りたかったのでしょうか?
ヘプタゴンは「目標をつくらず、目的だけの共有」で組織が成り立っているところとか、自分で給料を決めるとか、社員を信じていないと絶対できない経営が出来ている点に個人的にも興味があります。

「時間管理ゼロ」で成り立つ、コミュニティ型の会社の話
~ティール組織を地で行く青森の会社~

株式会社ヘプタゴン 立花さん

立花そうですね、いまみたいな考え方になった理由は大きく2つあると思っています。
IT業界では会社の枠を超えて交流したり情報交換したりするコミュニティっていうのがあって、そのコミュニティってボランティアベースで、お金を貰うわけでもないのにみんなでイベントやったり、何かひとつのことに取り組んだりというのはすごいことだなと思っていて。そこには命令も使役もないわけです。だからフラットな関係でなにか目的を持ってやっていくっていうのは凄いパワーになるなっていう、そういうコミュニティ型の会社経営をやっているとこが、私が会社を始めた頃に少しずつ出始めていて。単純にかっこいいなって思ったんですよね。

あとは青森ってステレオタイプの会社が凄く多いように私は思ったんですね。どこの会社もなんとなく同じような形にしか見えてなくて、それをやっぱり自分は変えたいなっていう思いがありました。
みんな人と違うことしたいっていう思いで起業しているのに、気づいたらみんなで同じような組織運営になっているように見えたので、そこを何かぶち壊したいなっていうのがあって。「コミュニティ型の組織形態って青森にないな」「じゃあ挑戦してみようかな」っていうのが1番最初でしたね。

浄法寺メンバーが自主的に動いていて、お金じゃない働く理由があるみたいなことですね。納得です。

立花これからどうやっても労働人口が減っていく青森で人数を増やさない形で会社のスケール(規模拡大)をしてみたいなと元々思っていて、少人数でも、良い人・良い仕組みがあれば会社って回ると思うんですよ。なので、そういう形を目指したいなっていうのがきっかけです。
結局、社長と社員って関係は役割としてはあるけれども、関係性はフラットだと思っているので、別に社長だけが持っている情報がなくても組織は回るはずだし。普通の人が経験できないことを経験していくのが経営者だと思うんだけど、それを経営者だけが享受するのってすごく勿体無いなと思うんですよ。
社員も優秀な人がいっぱいいるのであればその経験を同じように積んで欲しいなっていうのもあったので、とにかく「フラットに、オープンに」っていうのが理念というか、考え方だと思うんですね。

浄法寺普通の会社は、会社に入った後にどうモチベーションを上げさせるかみたいなこと考えるのだけど、そもそもそのモチベーションを持った人が少人数で来ているから無理に採用しないし、本当にこの会社でこれがやりたいっていう人だけが集まってきてそうですね。
ーービーコーズさんはどうですか?

株式会社ビーコーズ 村岡さん

村岡僕の場合は結構課題感からきていて。地元の十和田市から出て行って感じた「自分が子供のころ過ごしてきた街ってやばいのではないか」っていう。働くっていうのは結構ネガティブなワードになりがちなのですけど、ポジティブに変えていきたいというか、ポジティブであるべきだと思います。

働くこととか職業の選択肢がめちゃくちゃ少ないっていう凄い課題感。今後重要でなくてはならないIT企業ですら十和田市にはなくて、そこにいる学生さんや社会人もITに触れられる機会がほぼなくて不便だなっていう。東京で学んだWebという選択肢が地元にあれば、自分で選択できる世の中になるのかなというのが発端ですね。僕がいない時代にはWeb制作会社って多分十和田市には無くて、今は僕がいるからこそそれを言い訳にはできない環境になっていると思う。手を伸ばせば聞ける環境にそういう会社ができる、Webやっている会社があるという状態をもっと作っていきたいなと思って、Web以外もですけど。それを増やしていくことで、なんか自分の当時あった地元に対する課題感みたいなものをクリアにしていきたいというか。自分の地元に何もないところから、働くことを通して豊かにしていきたいなっていうのがあります。

浄法寺2つ目の質問ですが、もう少し自社の魅力について深堀したいです。
ーー自分の会社が他の会社と違うなって思うところって何かありますか?

材株式会社 浄法寺さん

村岡仕事中に運動しても良いジムデーを設けています。運動不足になりがちだから、昼ぐらいにジムにいく。そのほかあまり変わったところはないような気がします。

浄法寺多分慣れているだけで変わっているところ沢山あると思うよ。私の会社からしたら、服装自由っていうだけで「えっ?どんな服装でもいいの??」と思うし。

「焼きそば屋」を始めたIT企業の話

村岡そういう視点でいうと、縛るものはあんまりないですね。タトゥーも偏見はない。薬物は絶対ダメですが法を守っていればあとは各々に任せています。始業も何時でも良いですし、リモートワークも自由です。でも、リモート自由って言ってもけっこうみんなオフィスに集まってきますね。
リアルに会う場面は大事にしていし、むしろ社員だけじゃなくて地域の方々ともリアルに関わる仕組みを考えています。
そういえば、昔賑わっていた商店街に活気がないなと課題意識をもったことがきっかけで借りた、商店街の空き店舗があるのですが、そこで社員と地域の人が交流できる、焼きそば屋を始めました。WEBを扱う会社は創れた。子供たちへの出前授業などを通してIT技術に触れる場面も創れた。でもWebやITは専門職だと思うので、もっと生活とか文化に近いところの活動もしたいなと思って。飲食ってかなり生活圏に近いと思うんです。

立花うちは、火曜と木曜にそれぞれ1時間だけミーティングをしますが、そのミーティングも含めて完全リモートです。入社してから今まで一度もリアルであったことがない社員もいます。

浄法寺面白いですね。私の会社はバリバリ時間管理をしていて、全員が8時から17時という勤務形態です。リモートもOKですが、なんもなければ皆出社しています。

データや事実だけではなく感受性も重要視する会社の話

手前側に浄法寺さんの後ろ姿、奥手側に村岡さん、立花さんで輪になって談笑している様子

浄法寺ちょっとうちの会社の変わったところもエピソードを交えてお話ししたいのですが、三沢にある会社らしく米軍基地での仕事をしていて私も管理者としてかかわっているのですが、絶対無くさないで下さいと担当に言われている「パス(入門証)」を無くしたことがあって。
ばれないうちに見つけようと思いながら事務所に入った途端、社員の一人が「社長何無くしたのですか?」って聞いてきたのです。何も言ってないのに。そして、とりあえずコーヒーでも飲んで落ち着いて考えようと思ってコーヒー注いで戻ってきたら、「とりあえず落ち着こうってことですか」って聞いてきた。
以心伝心というか阿吽の呼吸というか、強い圧力とか強制力がない状態で一緒にいるとなんか非言語領域のコミュニケーションが活性化している気がします。そういう状態の時って業績も伸びるのです。
何か元気がないなと思って声をかけたり、実際会って膨大な情報をもとにその人と関わっているからこそ感じられる「違和感」や逆に「良い雰囲気」を感じたりできる会社っていいなって思います。そういう感性領域まで大事にできる社風を創っていきたいです。

社員だけではなく異業種、地域の人と繋がるためにリアルな飲食店(コミュニティーの場)を創ったIT企業と、目的でつながっているので一度も会ったことがない社員がいるIT企業、旧来の時間管理という雇用形態の中非言語でつながっている企業。そのコントラストが面白いですね。
いろんな会社の形があってしかもそれぞれがうまくいっている。そしてお互いがリスペクトしあっていて相乗効果も出ている。私たちのような関係の会社が増えて、人だけではなく会社にも多様性がある事が伝われば青森の会社のイメージも変わってきてくれるのではないでしょうか。

ーー最後の質問ですが、なぜ青森を選択する(した)のかについて教えてもらえますか?
青森である意味、自社である意味って何なのでしょうか?

左側には傾聴している村岡さん、立花さん。右側には思考しながら話す浄法寺さん

立花私の場合、特に青森が大好きだっていうわけではなく、青森に生まれたという責任感、義務感のようなものが大きいです。生まれた場所だし、大事な人もたくさんいる。
それと会社設立の時に思っていた、多くのIT企業のように、世界中の何億人の人に使ってもらって広い範囲で影響を与えるのもいいけど、最新のテクノロジーで近くの人を幸せにするIT企業でありたいと感じたことも青森で起業した理由の一つです。

どこのエリアに住むのか、青森や自分の生まれ育った場所を選ぶ、選ばないは人それぞれですが、「選びたいけど選べない」人が多いのは残念な事だと思います。
今青森にUIターンしたい人のハードルは明らかに仕事の選択肢のなさ、魅力的で働きたいと思う会社や仕事が少ない事なので。
でも明るい要素もあって、20年前は下請けピラミッド構造で下請けの受託案件しか地方に流れてこなかったものが、今はクラウドがあるから青森でも上位層の仕事や事例ができるようになりました。むしろ首都圏にはない、地方にしかない課題を解決するような事例を自ら創り出すことができます。

今後、自社を大きくしていきたいというよりは、そういったクラウド技術を使った地方でのIT活用の事例を増やしていきたいですね。
自分たちだけが変わっても地域全体が良くなるわけじゃないので、他のジャンルでも事例を創って、地域が変わるきっかけになれば良いなと思います。

村岡さっきのインタビューで「青森、十和田である意味」も話しちゃいましたね。
やっぱり圧倒的な課題感です。十和田市が抱える課題を見つけ、解決していきたい。もっというと、課題自体を「これが課題ですよね」と提案して創り出し、その見出した課題を解決していけるような人になりたいし組織になりたいです。
子供にも、大人にも、働く意味とか職業の選択肢を持てる地域にしたい。
それは、自分が生まれ育った場所で生活して働くという価値を、私や社員の働き方や生き方を見ることで実現できると思っています。
あとは、焼きそば屋を始めたことに象徴されるように、「誰でも来ていいよ」という許容力ある会社が地域にあることで、どのような価値が産まれるのかを楽しみにしています。

左側には思いを語る立花さん、後ろ姿の村岡さん。右側には傾聴している浄法寺さん。

浄法寺皆さん、ありがとうございました。

20年前私が起業した時は皆無だった20代、30代の起業家が青森にも増えてきていることが嬉しいです。今青森にUIターンしたい方、青森に住んでいる学生さんはぜひ将来の選択肢に「UIターン」や、「起業」ということも加えてください。そして、周りの会社をみてそこに合わせていくのではなく、自分の理想とする会社像をVISIONとしてイメージし、その実現に向け動いてほしいと思います。不満を言っているだけでは何も変わりませんが、VISIONを描いて行動するとどんどん世界観が変わると思います。(浄法寺)

立花 拓也

東北大学経済学部卒。大学在学中から仙台市にある ISP・サーバーホスティング会社のインフラエンジニアとして活躍。
東日本大震災を機に地元である青森県三沢市に戻りヘプタゴンを起業。
現在は主に東北地方の中小企業向や自治体などに対し、AWS を活用したサービス開発支援やコンサルティングサービスを提供している。国内外のコミュニティとの関わりも深く、地方に根ざしたクラウドの活用を広げる活動にも積極的に取り組んでいる。
株式会社ヘプタゴン → https://heptagon.co.jp/

淨法寺 朝生

材 株式会社及び株式会社Jサポート代表取締役。県内企業のマーケティングや事業再生、商品開発等の支援を多数手がける中、自らも地域課題・社会問題を解決するための事業を展開。5社の経営に携わる。債務超過状態の組織を、人を変えること無く再生させてきた実績を元に、社会貢献と収益化を両立させた継続的な地域貢献事業の経営・支援を行っている。
材株式会社 → https://zais.co.jp/
株式会社Jサポート → https://jsp55.com/

村岡 将利

1986年生まれ、青森県十和田市出身。WEB制作会社ビーコーズ代表。地元十和田市から進学の為上京。WEB系エンジニアとして2社経てフリーランスとして独立。その後、生まれ育った地元を変えてみたいと一念発起しUターンと同時に株式会社ビーコーズ設立。「一人ひとりが大義をもって働く社会をつくる」というVISIONのもと、会社経営はもちろん、メイン事業のWEB制作と共に地域のコミュニティカフェ「second.」、多目的スペースとしての活用を目指している「third.」の運営を行い、スペースを活用したイベントの企画・運営も行っている。地元での新しい価値・文化づくりに挑戦中。
株式会社ビーコーズ → https://be-cause.co.jp/