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対談010

伝統と革新が融合するまち 十和田市の魅力を発信し続ける熱き二人のコラボ対談!!

十和田バラ焼きゼミナール

対談テーマ:まちづくり=人づくり~これが僕らの十和田プライド~

2014年、日本一のおもてなし団体に輝いた十和田バラ焼きゼミナール。その「顏」とし奔走する畑中さんと、サイドから見守り続けるミュージシャン桜田さんの対談。二人がそれぞれの活動を通して考える、目指すべき

対談場所:十和田市現代美術館対談場所:十和田市現代美術館
アートによるまちづくりプロジェクトArts Towada(アーツ・トワダ)の拠点施設として2008年4月26日に開館した現代美術館。十和田市官庁街通りに位置する。

絶対にあきらめない

十和田バラ焼きゼミナール (以下、バラゼミ)の立ち上げの時に、畑中さんに初めて出会ってから、もう6年ですか 。
自分は八戸せんべい汁研究所(以下、汁″研)の立場からバラゼミの活動を見ていましたが、思い起こすとそこからの躍進はすごかったですね。

いろいろありましたよ・・・。十和田バラ焼きゼミナール十和田バラ焼きゼミナール
とにかくバラ焼きを愛して止まない人たちが集まった「バラ焼き応援隊」。バラ焼きで街中を元気にして、みんなにバラ色の人生が広がってほしいと、思いを込めて活動中。
日本一のまちおこし団体日本一のまちおこし団体
『ご当地グルメでまちおこしの祭典 全国B-1グランプリ』では、2010年厚木大会から出展し、2014年郡山大会で悲願のゴールドグランプリを獲得。2015年秋、十和田市での開催が決定している。
十和田バラ焼き十和田バラ焼き
醤油ベースの甘辛いたれで下味を付けた牛バラ肉と大量の玉ねぎを"焼しめる"料理。十和田市内では80店舗以上で提供され、家庭でも愛されているソウルフード。

2010年のB-1厚木大会に初出展して、その時なぜか優勝候補と言われたんです。常にキー局のカメラ2台がはりついて、特集を組まれる。注目されているんだなって、構えるくらいですよ。でもいざ蓋を開けてみると、初日13位、最終結果8位。その時ゴールドグランプリをとったのは同じく初出展の甲府で、失意でダーンと叩き落された感じですよね。そしたら汁″研の先輩たちがブースに来てくれて、いろいろ話を聞いてくれたんだよね。

その時だよ、「何やってんだよ畑中」って自問自答して。「まちを売るって言いながら、結局バラ焼きを売ってただけだったべ」って。

そこからだよ。北海道・東北のB-1支部大会でゴールドとって、ぐっと上がっていったの。販売食数とか、そんなくだらないことにこだわるのはやめようって。何をするか、やっぱりまちおこしでしょって。なら、まちおこしって何なんだ?て言ったら『経済効果と人づくり』だって。よし、人づくりをきちっとやろうって。そっから。

自分は八戸せんべい汁を応援するという立場で十和田市在住なわけですよね 。
まわりにいろいろ言われるんですよ、「なんで地元の応援をしないんだ」って。別に裏切っているわけではないんですけどね。だけど、これが一つの形なんです。

八戸せんべい汁研究所八戸せんべい汁研究所
全国的にも知られている『ご当地グルメでまちおこしの祭典!B-1グランプリ』を産み出した団体。2012年北九州大会でゴールドグランプリを受賞し殿堂入り。
トリオ★ザ★ポンチョストリオ★ザ★ポンチョス
青森放送のラジオ番組「うっちゃん みかちゃんの県南おもしろ事件簿」から誕生したユニット。八戸の郷土料理「八戸せんべい汁」の応援ソングや、B-1グランプリのテーマ曲も担当する。
桜田酒店舶来の店 桜田酒店
桜田さんのご両親が営む"街の酒屋"さん。お酒・飲料・食品の他に輸入品もあり、オーナーこだわりの品物がたくさん並ぶ楽しいお店。
十和田を育てる意味で、直接的に関わる人も必要だし、遠くでずっと見守る人も必要だと思うんです。それぞれの立場ってすごく大事だと思いながら、「バラゼミをよろしくと。十和田をバラ焼きで応援してるんだよ」と、いつも言っています。

それって大事だよね。

どうしても自画自賛になったりするんだけど、こうやって外から見てくれるっていうのは強みになるんだよね。これ、絶対に大事なポイントの一つ。内からじゃなくて外からっていう。

理解して、応援してくれる人が十和田にもっともっと必要ですね。

自分も経験があるんですけど、「ドラ息子で歌ばっかり歌って、いつ有名になるってな」と言われ続けてきました 。それでも、与えられた命が開花するまでは絶対にあきらめないとやってきましたから。バラゼミが立ち上がった時から、サイドにいながら応援する立場にいようと決心したんです。

「絶対にあきらめない」はキーワードだよ。
ほんと大事なこと。

なかなかここまでくるには・・・。
振り返ればほんと大変でした。

実際はそうなんだよね。見せないだけで。

好きな人いる?(インタビュアーに向かって)
あきらめないで思い続けること、そして気持ちを伝えるということが大事なんだよ。

伝えなければ、ないのと一緒だからね。桜田さんは歌を通してメッセージを伝えている。勇気だったり、いろんなことが伝わってくるよね。

人によっていろんな伝え方があるんですよね。

対談中の写真

これが僕らの十和田プライド

十和田の"中"だけでいいことやってもだめなの。
外でいいことをやって、十和田に伝わってくる。中の人たちが間接的に、「あの人たち凄いよね」と言われることの方が何倍もの価値がありますよ。

バラゼミの活動も、実を結んできてますよね。

百万本の薔薇の中の1本が咲いたっていうくらいかな。バラ焼き大衆食堂 司バラ焼き大衆食堂 司
バラ焼き専門の大衆食堂。使用されるバラ焼きのたれは、バラゼミ認定の「ベルサイユの薔薇ったれ」で、お肉はまるで「薔薇」のように美しく盛り付けられている。

いい表現ですね。

これから2本、3本…とステップアップしていって。
よく「魅力の乱反射」って、自分は表現するんだけど、食を通してのまちおこし活動もそうだし、歌もそう。いろんな魅力をいろんな角度から発信していく。

それが、十和田に住んでいる子どもたちに向かっても、伝えられたらいいよね。十和田バラ焼きキッズ十和田バラ焼きキッズ
十和田バラ焼きゼミナールとともにまちおこし活動をする地元十和田市の小学生たち。
十和田市立三本木小学校では受賞報告会も行われた。
ゆるりらとわださんぽゆるりらとわださんぽ
十和田バラ焼きゼミナールとともにまちおこし活動をする十和田バラ焼きキッズのひとりひとりが十和田の魅力を探し制作したパンフレット。第9回B-1グランプリで配布した。

子どもたちも変わってきてますよね。自信に満ちていると言うか。

誇れるものを、徐々に自覚してきているんでしょうね。

自由な発想とか、今までの億劫だった気持ちを解放してきていますよね。

「すごいね、魅力たっぷりだよ十和田は」ってどんどん子どもたちに伝えていけば、どんどん開花していきますよ。

今回のB-1グランプリでお客さんにこれを配ったの。
十和田の魅力を紹介するパンフレットなんだけど、学校単位で、自分たちが誇れる十和田を一人一個探してまとめたの。
全部で500パターンあるんだけど、
中には"スーパー カケモ"っていうのもあったりして。
おもしろいよね、感性が出ているんだよね 。

好きなものを、ちゃんと書けるって素晴らしいことですよね。

対談中の写真

書くためには探さなきゃいけないわけ。
「探し物はなんですか、みつけにくいもの・・・」じゃないんだよね。ただわからないだけなの。目を向けて、その良さがわかればどんどん好きになってくる。

今回B-1グランプリに連れて行った十和田西高校の生徒たちからは、手紙をもらったんだよね。「今回参加させていただき、誇れるものができました。ありがとうございます」ってね。涙しましたよ。すごいよね。

子どもたちと一緒に活動することなくして、まちづくりはないかな。経済効果をきちんと生み、人づくりを絡めながらやっていく。南部裂織と一緒よ。南部裂織南部裂織
裂いた古布と糸を横糸・縦糸にして織りあげる南部地方伝統の織物。地機で織った裂織は丈夫で温かく、カラフルな色合いと複雑な機上げが特徴。
古いものと新しいものが織合わさっていけば非常にかっこいい 。これが僕ら流のまちづくりだよ。

まさに協力の形として一番美しいですよね。

昔の人たちの考えを組み入れながら、新しい感覚も入れて、スタイルをつくっていく。
それは十和田スタイルなのかバラゼミスタイルなのか・・・何でもいいけど、それができたらかっこいい。これこそが十和田プライドなんですよ。

対談中の写真

親父の姿を見て、あとは感じろ!

音楽やってきましたけど、自己流だったり独学の部分が多かったんですね。こういう作曲の仕事をしている人が十和田にはいなくて、ほんと手探りで。

そこにアドバイスしてくれた先輩がいたんですよね。そういう出会いが自分を一番引き上げてくれた。感謝の思いがあるから、自分も音楽をやりたいという若い人たちには手を差し伸べてひっぱってあげたいと思うんです。

十和田で音楽活動してたかだか20年ですよ。キミのうたキミのうた
2014.9.15 Release 絶賛発売中

音楽活動20周年を記念して「キミがくれた夏」をセルフカバー。NHK青森放送局 脱短命県プロジェクト「元気あっぷる体操」のテーマ曲「だから、そのままで」など収録。

上を見れば世界を席巻してまわっている大先輩方がいるし、若い人たちには新しい可能性を感じるし。
今がすごく楽しいですね。これからもすごく楽しいと思いますよ。

素敵なことですよ。人には得意分野っていうのがあるからね。それぞれの得意を生かしてやればいいんだよね。

一番大事なのは、自分自身が一生懸命やることと、誰かが一生懸命にやることを認め合うこと。
それがあればサポートもできるし。足じゃなくてね、手を引っ張ることなんですよ。

対談中の写真

情熱ですね、一つのことに力を注ぐっていう。自分も朝起きて、夜寝るまで音楽のことばかり考えてます。

盲目のシンガーソングライター 板橋かずゆきさん盲目のシンガーソングライター
板橋かずゆきさん

桜田さんがプロデュース&ライブサポートする板橋さん。精力的なライブ活動の他、講演やラジオパーソナリティをつとめるなど活躍中。
公式サイト www.itakazu.com
盲目のシンガーソングライター板橋かずゆきさんのプロデュースもしているんですが、全身全霊を込めてやらなきゃいけない、大きな決断でしたね。人の命というか、その人の責任を持つって大きなことですよね。もう5年くらいやってますけど、手取り足取り。

そういう苦労もありますけど、やりがいがありますよ。育てるということが大きなことなんですよね。

プロデュースだもん。俺たちがやる事って。

それで、周りのみんなが幸せになってくれるのはうれしいですよね。

最近では、脱短命県ってね。

ドキっ。

対談中の写真

今回のB-1グランプリで、息子を十和田から新幹線にのせて郡山まで一人旅させたの。
表彰式を見せたくてね。普段どうしてもすれ違いが多いから、「どんな結果であれ来い」って。

大会中は相手してやれなかったんだけど、「会場でいっぱい"ラビアンローズ"をやっている、これが親父の姿」。
「良くも悪くも必死でがんばった姿なんだ、あとは感じろ」って。そして最後のステージで抱き合った。それしかできなかったんだけどね。

私もほんと家族と一緒にいる時間が少ないですけど。「感じろ」としか言えないんですよね。でも現場を見せたりできるってことは幸せですよね。親父としては。

見せたかったんですよ。幸い会場が東北だったからね。泣いてましたよ。俺も泣くしかなかったんですけどね。

僕も、息子らがほんとに幸せかどうか、心配だったりしたんですけど。
今まで全く音楽に興味のなかった息子が、突然「ピアノ弾きたいから、スタジオ貸して」って。学校の合唱コンクールで伴奏するって言うんですよ。聞いたらむずかしい曲でね。でも、自分で楽譜読んで、一生懸命やってましたよ。その時は涙がでるくらい感動しましたね。

対談中の写真

見てるんだよ。背中を見て、感じてもらえればうれしいね。

そう、信じていくしかないんですよね。

振り返れば郡山大会は、涙、涙だったんだよ。
十和田西高生たちB-1グランプリで活躍する
十和田西高生たち

B-1グランプリでは調理も担当。バラゼミとともに十和田の魅力をPRしている。
震災当初から、ずっと浪江焼麺太国(なみえ焼そばでまちを元気にと活動する福島県浪江町のまちおこし団体)を中心に、避難している人たちに炊き出しをしてて。昨年の1月と8月には十和田西高校の生徒も行って 、仮設の人たちと交流したんだよね。

コミュニティと接することで、考え方やコミュニケーションなどいろんなことを身につけて、また一つ皮がむけたの。いざ蓋を開けたら、そこでふれあった人たちが俺たちのブースにたくさん来てくれてさ。まさに実を結んだって感じだよね。

すごいよ、西高の子たち。それが、中学生や小学生に波及していくんだよね。

対談中の写真

今秋、B-1グランプリが十和田市で開催

これは、いろんな形の集大成の場にしたいよね。B-1グランプリを開催するのが全てではないし、そこから何かがスタートできるような。

食を通じてどんな魅力を発信できるのか、農産物でもいい、歌でもいい、いろんな魅力を発信できたたらいい、その会場が十和田市ですよってこと。

話題になるってことですよね、十和田市が全国で。それを僕らは誇りに思わないとね。

まちづくり活動に終わりはない。新たな十和田スタイルを一緒につくっていきましょう!

対談中の写真

【後記】
お忙しいスケジュールの合間をぬって駆けつけて下さったお二人。
対談終了後には、桜田さんから畑中さんへ、「この街と」(B-1グランプリのテーマ曲)のプレゼントが。その歌を聞きながら、これまでを振り返り、これからに思いを馳せる畑中さんの眼にはうっすらと涙が浮かんでいるように見えました。

桜田さんの歌声に自然と人が集い、気が付けば青空ライブのはじまり。
イバラの道のり、お二人が持つ地域愛と人間愛、そして十和田の子どもたちのパワーで、満開の薔薇咲き誇る日を楽しみにしています。
(楳内)

対談集合写真