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青森の魅力について語る人☓人魅力対談

対談008:
青森の魅力ナギサカフェ


人生のレシピ作り~青森と青森人の可能性~

ナギサカフェ主宰/食育料理家

なぎさ なおこ

八戸市にある野菜中心の家庭料理が人気の「ナギサカフェ」オーナーシェフ。食育をテーマにし、ラジオやテレビなど多数のメディアに出演している。料理教室では3歳から80代まで幅広い年代層を生徒に持ち、3年間に3000人以上が受講した。


株式会社Jサポート

淨法寺 朝生

株式会社Jサポート代表取締役。地域の課題を考え、教育とIT、人の力で改善を目指す。



本当に自分で何がやりたいのか、出来る事は全部やる

淨法寺:最近、料理本のアカデミー賞と言われる「グルマン世界料理本大賞」を受賞して、中国の北京へ行かれてましたが、青森からどう世界に広がっていったのですか?


なぎさ:全国各地のセミナーなどで出来た仲間たちとの出会いや繋がりから、集まって来る情報量が増えたことで、出版も出来て、更にこの大会を知る事が出来ました。
自分が何の人なのか、しっかりと作り込んだプロフィールが周りに伝わっていた、というのが一番大きいですね。
周りから「食育や健康に力を入れている人だな」と、時代のニーズに合った活動をしていた事と、実際に自分と関わった時に想像していた通りの人だった!と感じたり、想像していた以上の価値を受けとったりすると、信頼度が増しますよね。

ツールとしては7、8年前はmixiなどSNSを利用するのが、まわりより少し早かった事もありますが、何かを発信する時に「この人は何の人なのか」が伝わる事がベースになると思います。


淨法寺:「自分ブランド」みたいな感じですね。今のところ、なぎささん自身は自分を「何の人」だと思っているのですか?


なぎさ:自分でやりたい事をとにかく全部やっていたら、色んなことやっている人って紹介されるようになっちゃって。そこで考えるようになったのが、なぜ、そんな色んなことをやっているのだろうっていう事で、そのころが一番悩みました。4年くらい前ですかね。
料理の人とか、まあ食の人なのでしょって言われるのですが、自分としては人が集まる場所とか人の出入りを作る事がとにかく楽しかったんですよね。
本当に自分で何がやりたいのか、何を伝えたいのか、模索しながらとにかくやりたいこと、出来る事は全部やってみて、本当にやりたいことや、伝えたい事が見えてきました。
お店を作ったのも、人が集まる場所、情報交換の場所、自然とコミュニティになる場所を作りたかったのだと思います。
色んなイベントをプロデュースしたり立ち上げたりするのも、趣味が同じとか近い人達が集まることでさらにおもしろいことが起こる。人と人がつながるってなんか一人でやるよりも色んなことが起こる。エンジンがかかって加速するし、今まであるものと今まであるものが+することで新しいものが生まれたりとかする。
そういう場所を作るのが楽しんだな~と。



今回の対談は乗馬が出来る牧場の敷地の一角にて行った。対談前には、なぎささんのかねてからの希望であった乗馬体験を行った。

料理本のアカデミー賞と言われる「グルマン世界料理本大賞」授賞式の様子。大会には、世界中で発行された料理本187カ国、2000冊以上がエントリーした。

「グルマン世界料理本大賞でWoman chef部門第2位を受賞した『キッチンであそぼ!』(出版:経済界)。子供の自主性と自信がつく、3歳からできる「レシピ絵本」。


青森ってもったいない!

淨法寺:その場所に集まる人とか、イベントの主役としてステージに上がる人とかというのは、どういう人が理想ですか ?


なぎさ頑張りたいとか変わりたいっていう人ですね。

頑張りたい!何かしたい!って人はすごくたくさんいると思うんですけど、
何で頑張りたいのかわかんない人が多いのかな~と感じています。

起業したいと言う人は「起業する」っていうことが目標になっちゃっていて、なんで起業したかったのか、何のために起業したいのか、途中で見失ってしまう事もあります。「起業」は自分が何か自分がやりたいこと、伝えたい事を達成する為の「手段」ですからね。「起業」が目標になると、そこからがしんどくなっちゃうし、先が見えなくなってしまう。

大切なのは、目標と目的の設定だなぁと思っています。その違いを伝えたいなと。


淨法寺:なんのためにというのは、感覚として使命感に揺り動かされているから表現するのが難しいですよね。無意識だから気付いていない。


なぎさ:それを整理したりとか掘り起こしたりとか多分そういうことが自分は得意なのかなって思っています。ぱっと見、結構目立ちたがり屋に思われがちなのですけど、どっちかと言うと、人の気持ちを上げるとか、プロデュースするとか支えるとか、本質は裏方タイプだと思います。


淨法寺:27歳で若くして起業して走り抜けてきたけど、これからは支援の側に回りたいなっていうような?


なぎさ:学歴も無いし、コネも無いし本当に0から作ってここまでこられたのだから、もっと自分よりも色んな才能を持っていたり、人脈を持っていたり、凄い人が青森にもいっぱいいるのになんでそれを生かさないのだろう。青森ってもったいない!って。いつも思っています。いいものはもっと発信して行くべきだし、いいものはもっと自信を持った方がいいなぁって思います。


淨法寺:凄い人、ほんと沢山いますよね。皆で世界に出て行きたいですね。


カフェを活動の拠点に、食事だけではなく、コミュニケーションを重視したレッスンを開催。年間80本を越え、受講生は3歳から80代までと幅広い年代層が参加している。3年間の受講者数は3000人を超えた。

幼稚園、保育園、各種教育施設、医療機関から講演や料理教室の依頼が寄せられる。

免疫力アップや、食生活と併せた生活講座などを開き、食事と健康の大切さを広めている。


失敗は当たり前!だからこそチャレンジ!

淨法寺:今日一緒に来ている斗沢のテーマが「可能性」なので聞きたいのですが、青森の可能性ってどんなところだと思いますか?


なぎさ:青森以外のコミュニティを知らないでいると、職種や行動範囲など選択肢が少ない、狭いままになるのかなと。可能性を知らないまま大人になってしまうし、逆に新しいことをしようとすると親とか周りも知らないから不安で止めちゃう。

自分もそうでしたからね。青森から出た事の無いような両親に育ててもらって、大学へも行っていないので、1年だけ仙台に出ましたけど、ほとんど青森の事しか知らない。知り合いは青森県人が99パーセントってくらいでした。
起業してから、もっと勉強したいなぁと経営の事や心理学や料理の事など、全国に出歩いて勉強し始めてから、世界の広さと青森の魅力に改めて気づく事が出来ました。

新しい事をしようとすると、止める人がいたり、冷ややかな目で見られる事も沢山有りましたけど(笑)

なんで止めるのかっていう理由も、人って知らないことって「怖い」とか「危ない」って思っちゃうので、止める理由もわからないことがほとんどだったり、失敗させたくないっていう愛情だったのかなって今になると思いますけどね。

みんなで渡れば怖くないじゃないけど、色んな事にチャレンジする人が増えれば良いと思う。何事も新しい事始めると失敗があるのが当たり前だし、経営でも失敗はつきものだから、その失敗をシェアしながらみんなで頑張っていこうって思っています。
失敗することが恥ずかしいことじゃないのだよっていうのをわかって、頑張れる仲間とか情報交換できる仲間とかをもっと作ったらいいのになぁ。


淨法寺:そういう場所を今作りたいという事ですか?


なぎさ:そうですね。経営や仕事に関してだけではなく、料理教室は、自信なかったけど実は料理得意かも?と思える「自信をつける場所」を目指しています。女塾にしても自分が当たり前と思っていたことが人から見たらすごい才能だったということがあるので、その才能に気付いてほしくて運営しています。


淨法寺:いいですね。可能性はあるけど自信が無い、でもやる気はあるというような人達が集まれば、何かが起こりそうですね。




自分から見たら欠点でも、それが誰かのために必要なことかもしれない。

なぎさ:それこそ自分軸。なんのためにその行動をしているのだろうっていうのが自分でわかると、批判や中傷・反対の意見がでてきた時でも原動力を失わずにいられる。
自分の根っこの部分をもっとみんなわかるとそんなブレなくて迷わなくてすむのにな~と思っています。
アナと雪の女王が今流行っていて、「ありのままの」自分がわかんないからヒットするのかなぁって思っています。


淨法寺:みんなそうありたいと思っていてそうできてないから求めている?


なぎさ:そもそも自分のありのままがわかんない。


淨法寺:ありのままで居ようとしても出来ない要因として、自分の嫌な部分とどう向き合うかが大事だと思うのですが、良いところを伸ばしたほうがいいっていうのは当たり前として、悪いと思っている所とどう向き合うと良いと考えていますか?


なぎさ:自分のやりたいことが、「人の役に立つかどうか」というところだと思っています。
自分から見たら欠点でも、誰かの役に立つこと、誰かのために人助けになることであれば、もしかすると必要かもしれない。

私も、不器用なのが欠点だと思っていましたが、「不器用だからこそ料理が出来ない人の気持ちがわかる」のが料理家としての個性で、好き嫌いが多かったし、「食」がストレスだった時期があるからこそ、「好き嫌いが多い人」「不器用だと思っている人」に自信を与えられるのかなって思います。

自分がどんな人の役に立てて、どんな役割があるのだろうな~っていうのが意識出来ると、人生限られた時間しか無いから、時間を無駄なことに使わなくてもいいかな~って




人生のレシピ作りがテーマです

淨法寺:自分軸、大切ですね。お話しを伺っていると、一貫してチャレンジを応援したいと言う事が共通していますね。


なぎさ:でもリスクをちゃんと教えたいなとも思っています。


淨法寺:料理で言うと「包丁危ないよ」、とかそういう事ですか?


なぎさ:そう、怪我しないわけないよ料理って、って。一流のシェフこそ、やけどだって、怪我だって沢山しているし、
経営も失敗しないわけないよって。一流の経営者と呼ばれる人たちも、失敗を繰り返して、何度も挫折しながら苦労して工夫して、努力していますからね。

いいとこばかりじゃない、ってことですかね。


淨法寺:失敗した時のワクチンというか、そういう時も強くなるように?


なぎさ:失敗したらこうしたらいいよとか、対処の仕方だったりとか、対応の仕方だったり。
料理って、マネジメントの勉強にもなるしコミュニケーションツールにもなる。食べるって死ぬまで欠かせないことだから、料理ができるようになると仕事でも段取りの良さを考えたり、食べることで自分の体が作られたりしていく。
体が丈夫じゃないと自分が好きなことがいくらあってもできない。その食というコミュニケーションツールを使ってどうしていくのかとか、どうなりたいのかとかっていう事を繋げて伝えられたらいいな。


淨法寺:料理を教えているわけじゃなくて、料理を通して失敗した時の対処方法とか、誰のためにやるのかとかそういうマインドを教えているっていう感じ何ですか?


なぎさ:そうですね、人生のレシピ作りがテーマですね。


淨法寺:でました、「人生のレシピ作り」。良いフレーズですね!




全国でも一番になれるぐらいの、価値ある「コト・モノ」がたくさんある

淨法寺:なぎささんが、これからやりたいことはなんですか?


なぎさ:これからやりたいこと・・・。そうですね・・・。日本のことをまだ知らないし、今日も乗馬にきて、青森のことも知らない事はまだまだ沢山あるなぁって実感しました。
自分の住んでいる所を知らないと魅力を存分に発信することもできないので、青森ももちろんですが、日本の色んな人や場所について知って、知った上で海外に文化として発信したいですね。


淨法寺:青森の魅力を始めたのは、身近な魅力に身近な人が気づいていない、だから、「知る、愛する、伝える」という3つのステップを近い所から実現しようと考えて企画したのですね。
 その対談に来て頂いた、なぎささんから、知る、伝えるという言葉が出たのでとても嬉しいです。

日本は、経済成長ピークを経験している世界唯一の国だと思っていて、そんな中でもったいない文化という日本の良さを、また昔の日本みたいに体現して、物と人が大事にされ活かされているという地域や仕組みを創るのは、世界に向けてもメッセージできる可能性がある。
今の日本が経験していることって世界中がこれから経験していくことなので、そんな中青森が世界に発信する情報ってとても重要ですよね。日本から、新しい生き方を発信できるのが日本の田舎代表、青森の魅力かなと思うのです。
経済的には下降していく中で幸せを世界に見せていけるのが青森の魅力かなと。なぎささんはなんだと思います?


なぎさ美味しいところだと思います。


淨法寺:美味しいとは何がですか?


なぎさ:食べ物はもちろん、海とか山とかに囲まれているから、自然との距離も近いし、住むところとしても美味しい!可能性や価値に気づいていない全国でも一番になれるぐらいの価値の「コト・モノ」がたくさんあると思っています。
そういう部分ですごく美味しいものがたくさんあるからそれをいち早く見つけていち早く発信できるチャンスがたくさんあるんじゃないかな~。



誰の為に、何の為に、何を作るか

淨法寺:じゃあもったいないもの見つけたら普通残念な気持ちになるのに、なぎささんはちょっとワクワクするのですね。見つけたらどうやって活かしますか?


なぎさ:育つ環境を作る。魅せる場所を作るかな?


淨法寺:仕組みづくり?


なぎさ:自分で全てをやってしまうのではなく、やり方を教えるというかんじでしょうか?


淨法寺:なぎささんはなぜ手をかけ過ぎないようにと考えているのですか?


なぎさ:手をかけ過ぎると才能が潰れちゃうな~っていうのは日々感じています。例えば危ないから子供に包丁を持たせない、っていうのももったいない。使い方や危険性もおしえながら持たせると、きちんと上手に使うし結構できちゃうんですよね。


淨法寺:ははは。大人にとっての「包丁」ってなんですかね?大人に危ないからやめなさいっていうのってやっぱり起業とか新しいチャレンジとか。


なぎさ:危なくないことなんてないと思う。でもその方法とか使い方を知らないだけで、ちゃんと使い方がわかれば包丁も安全なのに。


淨法寺:極端な話、人刺したら危ないしやめてほしいけど、人を喜ばせるためだったら、人を幸せにするためだったら切れ味が良いほどいいしどんどんやってほしいですものね。


なぎさ:料理も仕事も、誰の為に、何の為に、何を作るかが大事だと思います。メニューを決めなきゃ材料も作り方もわかんない。
レシピと同じで、人生もメニューを決めなきゃレシピ(方法)も作り方(手段)もわかんないですからね。


淨法寺:人生のレシピ作りには、使いようによっては危険なツールを、人のため、社会のために使っていくマインドと行動が必要、という事ですね。
 私も素晴らしいツールや場所、物を人や地域のために使っていこうと思います。今日はありがとうございました。


なぎさ:ありがとうございました。


今回の対談は、ナギサカフェ主宰”なぎさなおこ”さんと、青森の魅力運営会社Jサポート代表”浄法寺朝生”でした。なぎささんは”料理”を通して、健康や子供の成長についてなど様々なことを人に伝えていました。
「料理は心」という言葉もあるように、料理を人に作ることで、言葉では伝えられないコミュニケーションができるのだと思います。今度の休日は、家族に料理を作ったり、仲間と一緒に料理を楽しんでみてはいかがでしょうか?今まで気付かなかった相手のことを知ることができたり、普段伝えることができない感謝の気持ちを伝えることができるかもしれませんよ。(木村)