挑戦する人~棟方純さん~
鶴田町から生まれたキャラアイス
春から夏にかけて県内のあちこちで、シャーベット状の
アイス、通称「ちりんちりんアイス」の出店を見かけます。青森県民なら誰しも子どもの頃に食べた、懐かしい味ではないでしょうか。今回紹介するのは、このアイスを花や鳥、犬などのキャラクターに変身させるアイス屋さん、(有)棟方冷菓店です。
(有)棟方冷菓店は、棟方純さんの祖父が鶴田町野木で創業、昭和40年代に現在の店舗(鶴田町鶴田鷹ノ尾)を構えました。キャラアイスが誕生したのは、今から9年ほど前です。棟方さんが「どうしたら、お客さんに喜んでもらえるだろうか」と考えたことがきっかけでした。
子どもも大人も大好きな味
取材に伺った日は、8月には珍しく肌寒い日で、その上雨もぱらつく、歩行者天国にはあいにくの天気でした。それでも、立佞武多の館前でイベントが始まると、通りは学生やOLで賑わい始めました。そして引き寄せられるかのように、アイスの出店に次から次へとお客さんが集まり、あっという間に行列ができました。
どうやら、キャラアイスと知らずに列に並んだお客さんが多かったようです。目の前で出来上がっていくアイスに「えぇ~!?」という驚きや、「かわいい~!」という感動の声があがります。女の子には、キャラアイスが大好評。一方、男の子は興味津々にも関わらず、見た目のかわいさにちょっと近づきにくい様子です。ここで棟方さんの必殺技、「大盛り」が登場します。食べ物に大盛りはつきものですが、アイスで大盛りとは意表をつかれました。これでもか、と高く盛り付けられたアイスに、男の子も大満足の笑顔でした。
新作への挑戦
アイスは毎回棟方さんが製造しいて、気温によって味を変えています。暑い時は、あまり甘いものを食べたくない、という理由からだそうです。私がいただいたラムネ味は、とてもさっぱりしていておいしかったです。
花や鳥のほかにも、スタッフそれぞれが新作を考えています。弟の慎也さんが考えた新作「ねぶた」を見せていただきました。髪の毛の躍動感が、ねぶたをよく表現しています。そして、愛嬌のある表情、このギャップがいいです。現在、「立佞武多」バージョンも開発中だとか。
新しいキャラアイスは、インスピレーションを大事にして、まずは作ってみるそうです。しかし、スクープとヘラでうまく形を作れない、または時間がかかって溶けてしまう、などで商品にならなかった案がいくつもあります。私たちが食べられるのは、試行錯誤の末に誕生した、貴重な作品なのですね。
棟方さんの夢
これからの夢は、現在の社長のようになること、だそうです。社長について一言でいうと「とにかくすごい人」。棟方さんは、小学校3年生の頃から従業員が休憩する間に店番をし、出店を手伝っていました。その頃のことは、今でもはっきりと覚えているそうです。通算26年の大ベテランでも、「毎日がお祭りで、同じ日はない」と言います。長く携わってきたからこそ感じる、時代の流れ。その傍らには常に、社長の大きな存在があったのでしょうか。職人らしく、多くを語らない棟方さん。一番うれしいのはどんな時ですか、の質問に「子どもたちの喜ぶ顔を見たとき」と話してくださった笑顔が印象的でした。子どもたちを驚かせるため、喜んでもらうために、棟方さんの挑戦はまだまだ続きます。
夏祭りや南部の祭りと、春から秋にかけて、イベントの出店が主です。ぜひ、イベントで「munakata」とロゴが入った黒いTシャツを探してください!
(有)棟方冷菓店
住所:青森県北津軽郡鶴田町鶴田鷹ノ尾47-6
TEL : 0173-22-2845
営業:3月~11月
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