弘前公園には、天守閣や追手門をはじめ、たくさんの遺構が残っています。
その中の一つ、二の丸未申櫓(ひつじさるやぐら)へやって来ました。冒頭の写真は、二の丸内側から眺めた外観です。
この櫓は、その他の遺構同様、国の重要文化財に指定されています。三重三階で、各層の屋根にはとち葺きという板を銅製の版で覆った、とち葺形銅板葺(とちぶきがたどうばんぶき)という構造が採用されています。
「未申櫓」という名称は、弘前城天守閣から見て東南の方向、すなわち未申の方向にあったことから名付けられたとされています。ちなみに天守閣から見て東北の方角には「丑寅櫓」(うしとらやぐら)が現存しています。
ヒツジとサルと、ハクチョウと……
さて、未申櫓を二の丸南濠から眺めたのが次の写真です。
お濠の水面に映る櫓の姿が、何とも涼しげではないでしょうか。
……ん? お濠のすぐそばに、何か白いモノが見えますね。いったいなんでしょうか?
なんと、ハクチョウでした! しかもそのすぐ近くには、タヌキのような四足歩行の生き物も二匹見えます!!
夏の真っ盛りにハクチョウなんているのか? それに弘前公園にタヌキなんているんだろうか?
どうにも疑問だったので、弘前市役所商工観光部の公園緑地課に電話で問い合わせしてみました。
それによると、まずハクチョウの方は、羽を傷めて飛べないらしく、数年前から公園内のお濠にずっと住みついているのだそうです。
続いて、タヌキらしき生き物を見たのだが、と聞いてみると……
公園緑地課Sさん「最近、そういう問い合わせが増えているのですが、市として公園内にタヌキを飼っているという事実はありません。おそらく、ペットとして飼われていた動物が捨てられたのではないでしょうか」
とのことでした!
うーん、人間とはなんと身勝手な生き物なのか。思わず憤りを覚えてしまいます。しかし結局、タヌキなのか何なのかは依然として不明という状況。さしずめ未確認生物(UMA)というところでしょうか。
UMAだからって馬ではないと思いますが……。
彼らの行く末を案じつつ
豪快に滑ったところで、UMA二匹はハクチョウに威嚇されて姿を消します。
そしてハクチョウは我が物顔で、悠然とお濠に降り立ち、去ってゆくのでありました。
ヒツジとサルが見守る中で行われた、ハクチョウとタヌキ?の争いは、かくして幕を閉じたのであります。
ともあれ、どちらも何とか、この弘前公園の中でこれからも生き延びていってほしいものだと思いました。
皆さんも弘前公園を訪れたら、どこかに彼らがいないか探してみませんか?
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