前編からの続きです。
KUROISIXの目標は?
「まずはやっぱり、黒石市の人たちに知ってもらいたいし、一緒にいろんなことをやっていきたい」と口々に語る、生徒の皆さん。
最初のうちは黒石市民の皆さんの間からも「いったい何を馬鹿げたことをやってるんだ」「高校生に何ができるんだ」と思われることが多かったそうです。
しかし、先輩たちの想いを胸に精いっぱいやって来た今となっては、街でつゆヤキソバンの姿を見かけると、子どもたちやおじいちゃんおばあちゃんが、親しげに話しかけてくれることが多くなっているのだそうな。つゆヤキソバンと常に行動を共にするチームKUROISIXの皆さんにとっては、この市民からの共感こそが、何よりも勝る励ましであり、褒め言葉なのでしょう。
そして、市民の想いが一つになった時、黒石活性化という最大の目的は、自然と果されていくのではないでしょうか。
黒石の魅力
チームKUROISIXの皆さんに、黒石市の魅力について聞いてみました。
「黒石は、青森県の中心部、津軽と南部をつなぐ位置にあります。八甲田山を境に、津軽と南部は、季候がくっきり変わる。そんな場所にあるからか、黒石は四季の移り変わりがはっきりしていて、一年を通じて魅力の尽きない街だと思います」
「春は東公園のさくらまつり、夏は黒石ねぷたに黒石よされ、秋は中野もみじ山、冬はこみせまつり。土地の風土や歴史・伝統を感じさせる楽しみがいっぱいです。B-1グランプリを通じて黒石に興味を持ってくれた人には、ぜひ実際に黒石を訪れて、その魅力を感じてほしいです」
わがまちCM大賞
黒石のたくさんの魅力を自分たちの足で調査・研究し、これをどうにか発信できないかと3年目(2009年度)の生徒が挑戦したのが青森朝日放送主催「ふるさと自慢わがまちCM大賞」でした。
黒石市役所企画課の協力を得ながら、絵コンテの作成から撮影、編集まで全て生徒たちが担当。「温泉」「親子愛」「旅情」というテーマから3作品を制作。
黒石市鳴海広道市長をはじめ、市民の方など様々な方の意見をいただき、提出した作品名は「変わらない場所」。
しかし、結果は残念ながら参加賞。
2010年度のチームKUROISIXメンバーは、先輩たちの想いを継ぐために、2度目の挑戦を行いました。市民の方に「黒石市について」のアンケートを行い、何を題材にするかなどを調査。
CM制作は順調に進んでいましたが、主役のつゆヤキソバンがイベント出演と重なってしまい、撮影が一時中断するというハプニングに見舞われてしまいます!
そこで、「昨年の未提出の作品をリメイクするか」という樋口先生の意見から、先輩たちの想いの詰まった作品に、新しい息吹が吹き込まれることとなったのです。
作品名は、「りんご農家の親子愛」。
実はこの作品、2009年度の3作品のなかで、視聴してくれた人たちには一番人気の高かった作品で、樋口先生によると「昨年は提出期限ぎりぎりまで悩んで、結局、生徒たちの思い入れが強い作品を提出したんです。でも、私自身、このCMが誰の目にも触れないのはもったいないと思うくらい良い作品だと思っていたので」とのこと。
2度目の挑戦の結果は、見事に準グランプリ。青森朝日放送で2011年の一年間を通じて、100本のCM放映権を獲得しました。
「先輩方と直接活動をしてきたわけではありませんが、このCMをリメイクしているとき、先輩方の活動への想いを強く感じることができた気がします。2年越しの想いが実を結んで最高に嬉しかったです」
自分の生まれた地域を愛する心が集まって、大きなことを成し遂げる。それがどんどん、人と人とのつながりを広げていき、無限の可能性を持たせてくれる。彼らの言葉を聞いていると、こんな風にワクワクしてきてしょうがありません。
樋口先生からの一言
最後に、4年間にわたって自分の教え子たちが想いをつないでいくのを支えてきた、樋口先生から一言、頂戴いたしました。
「この計画に携わってくれた生徒のみんなは、高校卒業後も立派にやっています。中には仙台でデザインの勉強をしてきた後、黒石に戻ってきて活性化の活動に再び取り組みたいというOBもいます。
今年(2010年度)の彼らも、6人中5人はすでに就職が決まっていますし、もう1人もこれから受験勉強ですが、ほぼ間違いなく合格するでしょう。高校生だからできたこと、高校生の時しかできないこと。彼らにとって、こういう貴重な経験を積み重ねてきたことは、KUROISIXの活動を離れて社会に出たり進学した後も、強い力となって今後の人生を支えて行ってくれるはずだと信じています。
2011年以降のKUROISIXの活動がどうなるか、というのは、私の来年度の配属も含めて不分明ではありますが、たとえこのチームが無くなった後でも、「地域のいいところに気付く」というモノの見方を、次年度の生徒たちに何らかの形で引き継がれればいいなと、願っています」
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本当に、自分の高校にもこんな先生がいてくれたらよかったのになあ、と思えるくらい、温かくて頼りがいのある樋口先生。チームKUROISIXのみんなと一緒に、次の日から先生の授業を受けたくなってしまったakkyでした。以上で今回のインタビューは終わりますが、今後も引き続き「青森の魅力」を通じて黒石市の魅力を伝えていく、その手伝いができたらいいなと思っています!
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