魅力No.1813


りんご娘 「奇跡のりんご」の生みの親 木村秋則さんと出会う! 後編


――前編から引き続き、りんご娘が木村秋則さんから貴重なお話を伺います。前編ラストでは、りんごから話題はそれて、宇宙人の話で盛り上がってしまったのですが、はたしてどうなることでしょうか――

本にも書いていないことを、自然から学ぶ

とき:木村さんは、UFOに乗ったこともあるんですか!?

木村:そうなんだよ。UFOの中は窓がいっぱいあって、すごく未来的だったよ。

ジョナ:わたしたちも宇宙人に会いたいです~。

木村:なかなか会おうと思っても、会えないものなんだねえ。この前も鹿児島県から、宇宙人に会いたいって言ってやってきた数人の人がいたんだけど、その人たちがいる間は出てこなかったなあ。そして、帰ってから、また姿を現すんだな、これが。

レット:どうすれば会えるんですか?

木村:「会いたい」と思っているうちは会えないんじゃないかなあ。偶然なんだと思うよ。

――:……あのう、スイマセン。さっきからずっと、宇宙人の話ばかりなんで(笑)、そろそろまた、りんごの話の方に戻ってもらってもいいですか?

りんご娘一同:あっ、すいません(笑)。あんまり木村さんの話が、おもしろくて。

木村:いや~、ごめんごめん。宇宙人の話なら、まだまだこの10倍は話せるんだけどねえ(笑)。
……ところでみんな、この畑の地面に座っていて、何か気がつくことは無いかな?

レット:(しばし考え込んで)……虫がいない、ということですか?

木村:そうなんだ。5、6年くらい前からなんだけど、この畑には虫がいなくなったんだ。不思議でしょう? ふつう、農薬を使わないと虫が増えるはずなんだ。実際、過去36年のほとんどの期間、この畑は虫でいっぱいだったんだ。でもさ、いつの間にか虫は、消えてしまった。

木村:ちゃんとした理由は分からないけど、きっとこの畑では、もう虫が働く必要がなくなったんだろうね。虫が葉っぱを食べることがなくなって、もっと大きな虫がその虫を食べることもなくなって。
わたしは、この栽培を始めて、いろんなことを自然から学んだよ。本にも書いていないことを、たくさんね。自分でやってみたことだから、そのことに気づくことができたんだろうね。

みんなが、がんばってくれた

金星:りんごの無農薬栽培を初めてすぐの頃は、どんな状態だったんですか?

木村:りんごを売って生活していたわけだから、りんごが採れなくなって収入がゼロになってしまった。その時、初めて気がついたことがあるんだ。わたしにはりんごをみのらせることができないんだって。りんごをみのらせることができるのは、りんごの木だけなんだって。りんごの木が、わたしたち家族の生活を支えていてくれたんだよ。
りんご畑の主人は、人間じゃなくてりんごの木なのさ。わたしは長い間、それに気付かなかった。りんごの木に対して「どうして咲かないんだ」っていばり散らしてたんだね。

レット:その後、どうなったんですか?

木村:どんどんと畑の木が、枯れ始めた。農薬も肥料も与えないで、早くりんごをみのらせろ、って何も知らない人間が、偉そう命令していたんだから、当然だよ。
自分がまちがっていたことに気づいてからは、一本一本の木に、謝りに行きました。
「りんごをみのらせなくてもいいから、枯れないでちょうだい」ってね。

木村:わたしのお願いが通じないで、枯れてしまった木もいくつかある。でも、今この畑に残っている、大きな太いりんごの木は、当時の苦しい時をがんばって生きぬいてくれた木なんだよ。彼らががんばってくれたから、わたしや家族も今こうやって生きていられるんだ。
りんごの木は、本当に強いんだよ。わたしたち人間が想像するより、ずっとね。

金星:ご家族、奥さんや子供さんたちは、その間どうしていたんですか?

木村:りんごの木と一緒になって、がんばってくれたんだ。女房は、ほかの野菜を売ったわずかな収入で家計をやりくりしてくれた。子供たちには、学校の給食費はなんとか払ってあげられたけど、欲しがっているものは何ひとつ、与えることができなかった。それに不満も言わず、わたしの願いをかなえる手助けをしてくれたんだ。
あの頃は、本当に苦しい時だったよ。早く、りんごの木にも家族にも、楽をさせてやりたかった。

10年ぶりのりんごの味 初めて食べた味

ジョナ:初めてりんごの木に実がなったときは、どう思いましたか?

木村:そりゃあうれしかったさ(笑)。10年ぶりだったからね、この畑にりんごができたのは。

木村:4つの畑ぜんぶ合わせて、その年にみのったりんごは、たったのふたつ。それもピンポン玉くらいの大きさのりんごね。でも、このたったふたつのりんごが、家族にもわたしにも、大きな大きな夢を与えてくれたのさ。
「無農薬でも、りんごの木はりんごをみのらせることが、できるんだ」って、初めて本当にわかったんだ。りんご栽培の歴史上、絶対に不可能だといわれていたことを、目の前のふたつのりんごがくつがえしてくれたんだね。

ジョナ:そのふたつのりんごは、どうしたんですか?

木村:家族7人全員で、仲良く分け合って食べたよ(笑)。一生忘れられない味と、美味しさだったなあ。そのりんごは本当に甘くて、切ったナイフが蜜のせいでりんごにピッタリくっついて離れなくなるほどだったんだよ。

レット:……ふたつのりんごを分けて食べると、8個になりますよね? 7人の家族で食べて、最後のひとつは誰が食べたんですか?

木村:仏様が食べたんだよ。お仏壇にお供えしたのさ。ついにりんごの木が、りんごをみのらせてくれましたって、お祈りしながらね。

りんご娘一同:いいお話ですね!

木村さん、りんご娘と会えて、悔いなし?

レット:木村さん、今日は本当に、ありがとうございました。
いろんなお話を聞いて、わたしたちはまだまだ、りんごへの知識が浅いなと思いました。
すごく勉強になりました。
最後にわたしたちから、感謝の気持ちを込めて歌をうたわせてください。

木村:ありがとう。畑の木たちも、みんなきっと喜んでくれるよ。

――かくして歌い始める、りんご娘たち。木村さんの畑に、名曲「りんごのうた」が朗々と響きます――

木村:いや~、すばらしい歌だったね。感動したよ。こんな若くてきれいな女の子たちといっぱい話せて、歌まで聞かせてもらって、後はもう、いつ宇宙人にUFOで連れて行かれても、悔いはありません。皆さん、本当に今日はありがとう!

りんご娘:ありがとうございました!

***

以上で、りんご娘と木村秋則さんの対談は終了です。りんご娘同様、わたしもまた、木村さんの話を聞いて初めて知ったことが、たくさんありました。弘前市が全国、そして世界に誇るりんごのすばらしさ、りんごの木の強さを改めて確認しつつ、読者の皆さんにもそれが伝えることができていたらいいな、と願ってやみません。

また、この対談をまとめるにあたり、資料として『奇跡のリンゴ 絶対不可能を覆した農家 木村秋則の記録』(石川拓治=著 幻冬舎 2008刊)を参考にさせていただきました。

最後に、とてもすばらしい機会を提供くださったリンゴミュージック様に、感謝の言葉を申し上げます。
以上、akkyがお送りしました!

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