魅力No.1833


それゆけ、路地裏探偵団 ~弘前の「裏側」を探索せよ!~後編


前編に続いて、弘前路地裏探偵団の活動に密着レポート!
団長とAさんは、土淵川沿いに中三弘前店を目指します。
途中の道筋には、ステキな雰囲気のオープンバーが。

やがて、蓬莱橋の橋げたにさしかかります。二人の頭上には、スタート地点であった弘前市まちなか情報センターが面する土手町商店街が広がっているのです。



「冬になると、この橋げたの近くにある排水口から、雪水がものすごい勢いで排出されるんですよ。冬にしか見られない、土手町名物の滝ですね」と団長。
そしてとうとう、中三弘前店の裏側に到着。

「震災の影響で大きなダメージを受けた中三ですが、弘前市民にとってはかけがえのない、触れ合いの場なんですよ。特に地下の食堂街の名物みそラーメン、通称「中みそ」は、独特の甘い味つけが特徴で、弘前市民のソウルフードなんです」
団長の話を聞いたAさんは「甘いみそラーメンなんて、想像つきません。食べてみたい。明日、寄ってみます」と仰っておりました。
中みそトークでひとしきり盛り上がっている間も、探偵団の歩みは止まることがありません。小さな小さな路地を通り抜け


再び土手町商店街へと戻ります。



土手町と一番町をつなぐ坂の下の交差点を渡って、次に団長がやって来たのは、川越黄金焼店。

この店のこがね焼もまた、昔から弘前市民に親しまれ続けてきた味。
「このこがね焼の値段は、昔からあるモノの値段と同じにするように設定されているんです。そのモノの値段が、庶民に気軽に買える目安なのだから、と。さて、そのモノとは何でしょう?」
団長からのクイズにたじたじのAさん。はたして答えは……これも、実際に路地裏探偵団に参加してのお楽しみです!

こがね焼を食べてひと心地ついた後は、探偵団活動再開! 坂を上って進んでいきます。


道路の向こう側に、田中屋さんの風格ある店構えを眺めつつ、そのお向かいに当たる古風なビルへと、団長は向かって行きます。

このビルは、弘前市内に現存する鉄筋コンクリート製の建物の中でもっとも古く、1927年(昭和2年)建築。現在は喫茶店や雑貨屋さんが入居し、今でも利用できます。

3階の雑貨屋さんでは、Aさんが目を輝かせて店内の品々を眺めて回ります。

いつまでも名残りはつきませんが、残り時間もあとわずかとなってきました。探偵活動再開です。

市民中央広場を突っ切っると、目の前には青森銀行記念館が。

この銀行は、青森県最初の銀行、第五十九銀行の本店として1904年(明治37年)に建てられました。設計は、近代弘前洋風建築の第一人者・堀江佐吉の手によるもの。

弘前街歩きの楽しみは、ふとしたところに歴史ある趣き深い建物が点在しているところにあるのでしょうね。さて、探偵団は引き続き、探索に戻ります。



辿りついた先は、怪しげな雑居ビルの合間を縫って伸びる、「これぞ路地裏!」というカンジの空間。その名も「ゴールデン街」。


昭和30年代を舞台にしたサスペンスドラマのロケに出てきそうな雰囲気です。というか実際、何度もロケが行われているそうで。

ゴールデン街を抜けると、そこは鍛冶町! 弘前市一番の歓楽街、夜の街です。

「弘前の子どもたちは、父親が「今日は鍛冶町だから」と言うと、それは帰りが遅いという意味だってみんな知ってるんです。そして決まって父親は酔っぱらって帰ってくるんです。それで、鍛冶町ってどんなところなんだろう?という興味を持つんですよ」
この団長の解説に肯かない弘前っ子は、おりますまい。

さて、今回の路地裏探偵団も、その探偵活動はいよいよ佳境に入ってまいりました。
藩政時代の町割りを示す小さな路地のひとつを通り抜け……



おそらく、鍛冶町界隈でもっとも有名な路地裏、かくみ小路まで辿りつきました。ココが、ゴールです。



今日はお疲れさまでした、とAさんの労をねぎらう団長。やおら懐から取り出し、Aさんに手渡したのは……。

路地裏探偵団入団許可証でした! これでAさんも、明日から立派な路地裏探偵!?

Aさんに、今日の感想を伺ってみました。
「ネットで偶然、路地裏探偵団のことを知って申し込んだんですけど、こんな面白いなんて想像もしていませんでした! どんな観光ガイドブックにも書いていない、弘前のいろんな顔を見ることができて、参加して本当によかったです。
特に、地元のオトナたちが立ち寄る、怪しい雰囲気の町なみを垣間見ることができたのが、何よりも印象深かったです」

ご満悦のAさんでした。

最後に団長に、この路地裏探偵団の活動意義について伺ってみました。
「ただの街歩きガイドではない、もっとアングラな雰囲気のガイドを組もう!というのが、コンセプトなんです。だからガイドするメンバーも、弘前のウラのウラまで知り尽くしたチョイ悪おやじたちが中核になっています(笑)。
そんなおやじたちがガイドするんだから、時間帯も健康的な日中じゃなくて、宵のはじまる頃合いにしました。普段はマジメに仕事をしているおやじたちが、いざ探偵活動をはじめると、変装して偽名を使って行動する。そこに、ガイドしている本人たちの楽しさもあります。

こういう形で取り組んでいる街歩きガイドは、青森県内はもちろん、日本全国探しても、何処にもないはずです。最近じゃ、各地域の自治体や観光協会の方々が、弘前路地裏探偵団の活動内容や運営方法を視察する目的で、参加してくれることも多いんですよ」

路地裏。
そして、探偵団。
この言葉にあこがれを覚えるのは、子どもも大人も、みな一緒です。
いや、大人だからこそますます、ノスタルジーを感じるのかもしれません。
誰もが懐かしい子ども時代に帰れる場所、それが、弘前の路地裏であり、それを求めて、お客さんもガイドのおやじたちも、探偵ごっこにいそしむのかも、しれませんね。

というわけで、弘前路地裏探偵団のレポートは、ひとまず終了。
関心のある方は、ぜひ参加申し込みの連絡を。もちろん、ABA青森朝日放送『路地裏探偵団が往く!』(毎週土曜日 24時30分~24時15分)もお見逃しなく!

最後に、後編で紹介したスポットに関係する、「青森の魅力」掲載記事の一部をご紹介いたします。

魅力No.1338 中ミソ(弘前市)

魅力No.1169 弘前エレクトリカルファンタジー「市民中央広場・青森銀行記念館」イルミネーション編 ~弘前市~

魅力No.596 「懐かしさ」と出会える、弘前のグルメスポット~かくみ小路~

それでは、Aさん、そして団長、お疲れさまでした!

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