先日、仕事で青森県東北町の小川原湖に白魚漁試験引きの取材へ行く機会がありました。
東北町には『居酒屋れすとらん えび蔵』という全国で唯一、白魚の踊り食いを食べられるお店があります。そこの店主、蛯名正直さんに同行させて頂き白魚漁を体験してきました。
小川原湖の白魚は全国総漁獲量の7割を占めており、白魚漁自体は盛んですが白魚という魚は網にかかっただけで死んでしまうほど極めて繊細な魚で、活魚で提供している蛯名さんは研究に研究を重ね実現までこぎつけました。
長期間生かす研究ももちろんですが今回取材させて頂いて分かった事は、漁をしてから蛯名さんの生簀に白魚を運ぶまでも大変な苦労をされているという事です。
生きた状態のままの白魚が手に入ったらすぐに船を港まで戻し、白魚が入った樽を車に積み込み生簀まで運びます。その時も大きな振動は与えないよう注意しながらも時間との戦い…どうかたくさん生き残っててくれ…そう願いながら生簀まで急ぎます。
『樽に入れた時は元気に泳いでいた白魚達が生簀に運んで来た時には一匹しか残ってないなんてことはよくあるんだよ…』
そう話す蛯名さんの表情はどこか少し悲しげに見えました。
今回は幸運にもたくさんの白魚が生きていてくれました。
まるで自分の子供のように『お~、元気だなぁ~』と笑顔を見せる蛯名さんを見て、私も白魚が可愛らしく思えました。
長生きしてくれよ~と声をかけながら温度管理する姿をみて、白魚を提供する側の立場にいる人がこんなにも白魚に愛情をかけているなんて知りませんでした。
普段何気なしに食べている魚達も私達はいのちをいただいているという事、
そして生産者さんや漁師さん、その他食事の提供に関わるすべての方に感謝です。
全国でも唯一の白魚踊り食いの背景にも並々なる苦労と努力がありましたが
心から白魚を愛する蛯名さんの想いが感じられた取材となりました。
『居酒屋れすとらん えび蔵』での白魚踊り食いは10月からの提供ですが
元気な白魚達に会いに、いらしてみてはいかがですか?