総面積四十九ヘクタールにもおよぶ弘前公園は、本丸・二の丸・三の丸・四の丸・北の郭・西の郭の五つの区画から構成されています。そのうちの三の丸の一角、約八ヘクタールの広さを占めるのが、昭和六十三年(一九八八)に開庭したこの、弘前城植物園です。入り口は、二の丸辰巳櫓そばの南出入り口と
三の丸東門ちかくの北出入り口
二つがあります。園内はさらに、いくつものエリアに分かれて構成されており、一五〇〇種十二万四千本の花や樹木が植栽されています。
今回は、そのうちのいくつかのエリアをご紹介いたします。
白神山地生態圏
南出入り口から入ってすぐ右手に広がるこのエリアには、白神山地のブナ林が再現されています。
弘前市と公園緑地協会が「白神に行きたくても行けない人のために」と整備した、このエリア。当初は六十五本しかなかったブナの木も、十年以上の時間を経て今では、一五〇本以上までに増え、立派な本物のブナ林となりました。
大石武学流庭園
大石武学流という築庭法は、幕末に津軽地方において発生した技法です。チョコまいさんによるレポート、魅力No.101「平川市で今大人気の庭園」にて紹介されている盛美園も、この技法を用いた庭園として有名です。
弘前城植物園内のこの庭園は、武学流六代目を継ぐ外崎亭陽が築庭したもので、京都風の風雅な庭と異なり、石組みの力強い稜線が特徴とされているそうです。
湿性植物園
池を中心に、水辺や水中に生育する植物を自然に近い状態で観察できるように造られています。
三の丸庭園
文化七年(一八一〇)、現天守閣造営の際、九代藩主寧親(やすちか)が三の丸御屋形に移り住むにあたり、江戸より庭師を招き本庭を築庭したものです。
本庭はこの時代の枯山水としてすぐれた様式と意匠を伝え、当地方の庭園文化の源流として貴重な庭とされています。また、この庭園にあるコウヤマキという巨木は、樹齢三〇〇年を超えるものだそうです。
この他にも、ロックガーデンやバラ園、生垣の迷路など、様々なエリアがある、この弘前城植物園。自然に癒しを求めるとき、弘前市内の中心部でも、これだけの植物と出会うことができるのです。園内には無料の休憩所や芝生広場もありますので、週末にお弁当を持って出かけるのにピッタリ。
いよいよ今月一〇月末からは、「弘前城菊と紅葉まつり」のメイン会場となりますので、みなさま一度、ぜひお越しください。
弘前城植物園
個人 大人 300円 子供 100円(小・中学生)
団体※ 大人 240円 子供 80円(小・中学生)
※10名以上
開園期間 4月中旬~11/23まで。
開園時間 午前9時~午後5時まで(入園券の販売は午後4時半まで)
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