国の重要無形民俗文化財に指定されている【八戸えんぶり】。
およそ800年の歴史を持つといわれる豊作祈願の伝統行事で、毎年2月17日から4日間にわたって行われています。
えんぶりの象徴ともいえる烏帽子をかぶった太夫。
演目は太夫(たゆ)の摺りを中心に構成されていて、各えんぶり組を代表する存在です。
演舞する太夫の真剣な眼差しと、凛とした雰囲気がとても印象的でした。
演目の合間に披露される子供たちによる祝福芸は、愛らしくも華麗な舞いで観客を楽しませてくれます。
大勢の観客の前で披露するために、日々稽古を重ねた努力がみえる素晴らしい舞い。
細かい所作もしっかりこなしていました。
そして演目の進行に欠かせないのが囃子方。
囃子方は、笛・太鼓・手平鉦(てびらがね)で構成され、演目によってさまざまな音色を聴かせてくれます。
約1時間弱におよぶ演目では、手がかじかむ寒さのなか止まることなく演奏し続け、舞い手だけでなく私たち観客の心も高揚させる存在でした。
子供からお年寄りまですべての世代が一体となって構成されている各えんぶり組…
それはまるでひとつの家族のようでした。
子供たちを温かく見守り、ときには威勢のいい言葉で励ます大人たち
そんな大人の姿をみて、心と身体をもって芸やその精神を受け継いでいく子供たち
えんぶりを通して伝統と誇りとともに、地域コミュニティーの温かさや世代を超えた人々の繋がりも絶えることなく受け継がれていることが、地元の人のみならず多くの人に愛される理由なのかもしれません。
八戸地方の気候と風土が生んだ「八戸えんぶり」。
地元を愛し、誇りを持って守り伝える人々がいたからこそ継承され続けている伝統芸を見て、魂を揺さぶるような感情がわきあがりました。
人々に “想い” がある限り、受け継がれていくんですね。
※動画は2013年のえんぶりの様子です。
↓八戸えんぶりの幕開け、奉納摺りが行われる「長者山新羅神社」