魅力No.1524


伝統の味を子どもたちへ

三沢市内の全認可保育園(所)が加盟している『三沢保育事業研究会』の給食部会では、子どもたちを中心とした、さまざまな方面からの食育に力を入れています。そのひとつに、給食部会で「手作り味噌」を作り、手作りの味を子どもたちに味合わせる活動をされています。

今回は、その味噌づくりの場にお邪魔させていただきました。

今年で味噌作りは3年目。
きっかけは、一人の栄養士さんのお母さまが長年手作り味噌を作られていて、そうした手作りの味を子どもたちに食べさせたいという想いが、給食部会のみなさんで共感し、みんなで味噌を手作りして子どもたちに伝えていく活動がはじまりました。

手作り味噌は売ってはいるものの、やはり自分たちの手で作った味噌は、味は一味も二味も違います。子どもたちの大好きな給食の先生が作ってくれた味噌ならなおさら!食欲は倍増です!!

麹をつくる。

この味噌づくりは3日間かけて行います。
1日目は、先生とお当番の給食担当さん数名で麹づくりから始まります。

麹のもととなるお米は、農家である先生のお宅で作られた“まっしぐら”。
丁寧に洗われ、蒸気のあがる蒸し器で蒸されます。

 

蒸しあがったお米をほぐし、荒熱をとって、種麹をまんべんなくまぶします。

 

丁寧に自動製麹機に入れ、2日間発酵します。
途中、24時間後に2回かえします。2日目の作業はこの作業のみ。

 

この自動製麹機は昭和60年から使っているもの。使っている麹用のふきんもその当時からずっと大切に使われています。毎年こうして麹を作り、美味しい味噌が作られていると思うと、美味しくなる秘密がこの中にあるように感じます。

豆は、ゴミなどをとりのぞき、キレイに洗われ、たっぷりの水に浸しておきます。

 

いよいよ味噌を仕込みます。

3日目は、市内17ケ所の保育園(所)より給食担当のみなさんが集まります。
日々それぞれに活動されている給食担当のみなさんにとって、保育園の様子など意見交換の場としても、とても貴重な時間です。手作りおやつのレシピ交換なども行うそうです。

味噌づくりが初めての人も経験のある人も、みんなで一緒になって味噌作りに取り組みます。
れからの課題は、先生がいなくても自分たちの手で手作り味噌が作れること。カメラなどで記録を撮りながら作業を進めます。

さて、2日前に仕込んだ麹はどうなったでしょうか?

 

お米のまわりにふわふわっと白い雪がついたように発酵していました。
下からかえしてぱらぱらになるようにほぐします。触ると、ほろっとくずれ、ほんわか温かくて優しい触感。

ふっくらもどした大豆は、大きな圧力釜で大豆を炊き、粗熱をとります。大豆30キロ分なので、重労働。みんなで力を合わせます。大豆を広げるとお豆のいい匂いが漂います。

 

塩と麹をまぜ、大豆を混ぜます。さすが先生の混ぜ方はプロでした!!
全体を大きく回しながらどんどん混ぜていきます。

 

いよいよ最終工程です。混ぜたものを機械でミンチにして、手でまるめて保存容器にたたきつけます!これは空気が入らないようにするため。

だけど、これがまた面白い!!一番盛り上がる作業です。
えい!!味噌玉に何を込めたのかな??

 

最後は空気が入らないように丁寧に包んで、塩の重しをして保管します。
先生の最後まで手を抜かない丁寧な仕事ぶりに、私もみなさんも尊敬の眼差しです。。。

 

味噌は、初夏に1度かえし、来年までこの場所で子どもたちに食べられるのをじっと待っています。美味しく育ちますように。。。

こちらが去年仕込んだ味噌。甘い味噌なので、キレイな黄色。味噌の美味しい香りがたっぷり。小分けにして各保育園に持ち帰ります。約6キロくらいの割り当てなので、すぐになくなってしまいますが、美味しい味噌の献立が楽しみです。

 

「美味しいよ~」

給食担当のみなさんに伺うと、ひとことめは「美味しいよ~」。作り手にはとてもうれしいフレーズですね。
私もご厚意でお味噌を少し分けていただき、早速味噌汁を作っていただいてみたところ、コクがありとても美味しい味噌でした。そのワケは、贅沢に米と大豆を同量で仕込んでおり、とても風味豊かで甘い味噌に仕上がっています。

この手作り味噌を、給食でのお味噌汁や、おやつで焼きおにぎりにしたり、五平餅などを子どもたちがクッキングしたり、さまざまな場面で見て食べて、この味噌に込められている想いや伝統の味を子どもたちに伝えます。

聞いて、見て、触れて、味わうことで、「食」に対する大切な心が世代を超えて育っていくことはとてもすばらしいことと感じました。こうした食育を通して、子どもたちだけでなく大人たちも、「思い出の味」、「忘れられない味」として記憶のかたすみに残っていくのではと思います。

三沢市の保育園に通っていらっしゃるお子さまをお持ちの方は、ぜひこのお味噌のことを聞いてみてください。どんな感想が返ってくるでしょうか?楽しみです。

これからも、温かい心と伝統の味を守っていってほしいと思いました。ありがとうございました。

三保研給食部会では、年に6回、さまざまな研修をされています。
食べるということは、命をいただくこと。野菜や魚、肉など、食べるものは成長し命あるものです。それを実際に見て、触れて確かめて、そして大事にいただく、それを子どもたちにわかりやすいように伝えることを第一に考えていらっしゃいます。
特に、22年度はふき採りをして、子どもたちはとても喜んだそうです。三沢市で自生しているふきを子どもたちと一緒に皮をむいたり、クッキングしたら、普段山菜を苦手としている子どもたちはたくさん食べて大好評だったそうです。自分たちで手間をかけて美味しくいただくという食育は、美味しさと共にココロも育てるのだなぁとお話を伺い強く感じました。
青森県三沢市

コメント一覧

  1. 東京っ子さん
    おいしそうな写真付きって言っていただきありがとうございます。とてもうれしいです。
    とてもよい取組ですよね。私もうらやましいです。安心して預けられますね~。

    sakana

    2011.03.24


  2. いい取り組みですね〜。うらやましいです。

    sakanaさんの記事はいつもおいしそうな写真付きでたまらないです!!!
    これからも楽しみにしてますっ!

    東京っ子

    2011.03.23


  3.  昔の普通が、貴重な世の中。今じゃ味噌も醤油も漬物も、スーパーで購入しちゃう時代せちがないね~。働くお母さんの味方の保育園の先生達がこんなに食育を考えてくれているなんて嬉しいですね。

    ピコロモンド

    2011.02.04


    • ピコロモンドさん
      はい、なかなか親である私たちが体験させられないことを保育園でやっていただけるなんてとてもありがたいことです。また子供たちも必ずどこかで思い出し役立つ日があるはず。私たちも子どもたちを通して勉強になります。

      sakana

      2011.02.07


  4. akkyさん
    給食の方や先生方が、そういった機会をとても大切にしていることが親としてとても安心します。子どももそういう機会がなければ経験できることではないのでとても幸せですね。

    sakana

    2011.02.04


  5. こういう体験は本当に素晴らしいと思いますし、羨ましくもあります。
    普段自分たちが口にしているものが、どんなふうに作られているのかを学ぶこと。
    他の生き物の命を頂いて、自分たちは生かされているのだと気付くこと。
    子供のうちからこういうことを体験する機会があるのは、とても幸せなことですね。

    akky

    2011.02.03


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