幸福の鳥と共に暮らす
~撮り続けてきた思い~
神の鳥フクロウ
皆さんはフクロウにどんなイメージをお持ちだろうか。丸ヶしていて愛くるしいフクロウは、世界中で様々なものの象徴として扱われている。よく知られたところでは、「学問の神様」。ギリシャ神話では「知恵の神」「アテナ(Athena知恵の神、技術の神、戦いの神)の化身」として、ローマ神話では「技術、職人の神」、中国では「悪魔払いの鳥」、メキシコでは「富の象徴」、アイヌの人々には守護神コタンコロカムイ(アイヌ語で「シマフクロウ」。アイヌ語の意味は「村の守護神」。)として。我が国日本では、「哲学者」、「ものしり博士」、「知恵の神」の象徴として。
そんなフクロウが、青森県西部・津軽地方の町、浪岡町(現在青森市)の象徴となっている。なぜ浪岡町の象徴がフクロウなのか調べていくと、浪岡を拠点にフクロウの写真を撮っている蛯沢 博行さんという方に出会った。
浪岡町とフクロウと蛯沢さんと
蛯沢さんは20才の頃から写真家として色々な野性動物撮っていたのだが、ある知人の林檎畑でフクロウを見てからあの愛くるしさを写真に収めたいという気持ちがきっかけで写真を撮り始めた。撮っていくうちにフクロウを深く追求していくと「なぜ浪岡にフクロウが多いのか」と疑問が生まれ、大学の研究所に頼み、空撮をして林檎の木の調べたりと正確な数字を出し、なぜ空港や高速道路もほど近いこの浪岡町に、神経質な猛禽類のフクロウが多く生息しているのかがわかった。
そこには三つのことが関係している。
一つ目は林檎畑の林檎の木に関係がある。
林檎の木には「わい化」と「在来」という種類があり、最近の栽培方法で、接ぎ木した穂木の成長を押さえる性質を持ったわい性台木を利用して、わざと木の高さを小さく栽培している栽培の事を「わい化」と言う。、「在来」とは果樹を増やすのには接ぎ木が昔から行われている最も簡単な方法だ。普通台木と呼ばれる在来台木(主にマルバカイドウ)が用いられている苗木で、普通台木が用いられている樹(普通樹)は、成長が旺盛で、実際栽培では樹高4m程度を目標として整枝が行われている。そして浪岡町には、台木に接ぎ木を繰り返して育てられるりんごの木は寿命約80年といわれ、昭和初期に植えられ、台木部分が直径40cm以上に育った「在来の」木が今も多く見られる。こうした老木では幹に大きな穴(樹洞)ができ、フクロウの巣穴となる。
二つ目は近くに雑木林とため池がたくさんあること。
津軽は農業がさかんな割に利用できる河川が少なく、ため池がたくさんつくられてきた。浪岡町は、このため池を埋めることなく今も残してある。そして、フクロウは林檎園の近くに雑木林がある場所を必ず選ぶ。これはフクロウにとって格好の住みかではないだろうか。
三つ目は林檎園にはフクロウの餌となるハタネズミが多く生息していることだ。普通、一つのつがいの親から生まれるフクロウの子供は3羽ぐらいだそうだ。しかし、林檎園で生まれる子供は4~5羽。これは明らかに多い。それは林檎園に餌が充分にあるという証拠だろう。
この三つの要点から浪岡はフクロウにとって住み心地の良い町と言えるのではないだろうか。
蛯沢さんは、浪岡とフクロウについて「人がいる林檎園で野性のフクロウが繁殖する、これがすごい。そして今後、フクロウの生息を守るという事は、りんご農家を守ることとつながっている。」と、うったえ続けている。
「100人いたら100人にわかってもらおうなんて思わない。
5人でいい。その5人に感動が伝われば充分だ。」
「ずっと一年同じワンポーズを撮りつづけるのだが、撮れた!と思うのは一枚だけ。しかしその一枚を撮れた時の感動、野生のきつねを撮る為に夜の6時から朝の6時までシャッターの前で待ち構え撮れた時の感動、この感動が忘れられないから寒い日だって暑い日だっていくらでもシャッターの前で待ち構えてられる。そして出会った、夜に出てくる野性動物の美しさと人と変らぬしたたかさに魅力を感じまた感動する。蛯沢博行という人間は感動の繰り返しだ。人間は感動できる生き物だから、私は少しでもいいから写真で感動を伝えたい。」と蛯沢さんは言う。
私から見た蛯沢さんという人間は、探究心の塊だ。普通は、気になることがあっても先に頭で考えてしまう。その場にならなければその問題も解決も出来はしないとわかっていてもどうしても頭で考えでしまう。しかし、それとは真逆に、気になることがあれば頭で考えるのではなくすぐに体が動く。そしてまた疑問が生まれ気になってしまう。これが蛯沢さんが現在の写真家である理由と魅力の一つではないだろうか。
写真が見たくなったら
浪岡町(現在青森市)アップルヒルのふれあい館に蛯沢さんの写真が展示してあり、その他にもフクロウのグッズなどが置いてある。そして、林檎園で怪我をしているところを助けられた可愛らしいフクロウの愛ちゃんが待っている。
蛯沢さんに会いたくなったら
現在、蛯沢さんは旧王余魚沢小学校でフクロウのブロンズ像を制作している。
作っているのは「シマフクロウ」と呼ばれ、ミミズクの一種で野生の気高さを感じられる。会ってみたい方はこちらご連絡してみて下さい。
http://www.google.com/maps/place?cid=17106576584582397529?q=旧王余魚沢小学校
100人いたら5人にわかってもらえたらいい
という言葉がなんだかすごいです
sdu
2010.09.08
フクロウにそんなあだ名がついていたなんて知りませんでした。
のんべぇ
2010.09.03
そうなんですよね。できるだけ多くのフクロウが巣立ってほしいです。
あと穴は是非作ってください!!
ゆ~みん
2010.09.03
フクロウは本当に優秀、ネズミ・モグラの増えすぎに農薬使わんでも良くなるんすもん。フクロウは捕食動物のよう見えますが、赤ちゃんの時はとっても弱くて、キツネに食べられたり、巣から落ちて亡くなったり。一人立ちするまではハードルがたくさんあります。うちにも来ないかな座敷童みたいに。あっ穴作らなきゃ。
mikamihirofumi
2010.09.02
キャワイ~。
私もいつか猛禽類を飼ってみたいです。
地図のスケールがいい。
さとちゃん
2010.09.02
キャワユイでしょ~?
今世界地図に気づきました。
規模でかすぎですよね…
ゆ~みん
2010.09.02