魅力No.2180


「もっともっと青森ファンをつくろう」The企画エルサーチ株式会社 蒔苗 正子さん

以前、弘前大学の皆さんと青森市のThe企画エルサーチさんが2013年11月16日(土)と17日(日)に、A-FACTORYにて共同開催した「ガレットコンテスト」。

私たち青森の魅力編集室も16日の試食会の様子を取材しレポートしていました。

レポート記事はこちら⇒『A-FACTORY開業3周年記念・弘前大学生Presents「ガレットコンテスト」

この試食会は、一般の方からアイディアを募集し、マーケティングリサーチ、メニューの考案などをし、商品化に向けて春から準備してきたそうです。

今回は弘前大学の学生さんのサポートに尽力されたThe企画エルサーチ株式会社代表・蒔苗正子(まかなえ まさこ)さんにガレットコンテストについてインタビューしました。

The企画エルサーチ 蒔苗正子さん

弘前大学のみなさんとの協働

-------弘前大学の学生さんと共同企画をしたきっかけは何ですか?

弘前大学経済学部の森教授から昨年度末頃に「学生の就業力強化のための授業として学生グループの引き受け先として、お願いできないか」ということでお話をいただきました。

弘前大学経済学部では、5人ひと組のグループでそれぞれのグループが色んな企業に行ってそこの課題を解決したり、何かサポートをする仕事をするというのを授業の一環で行っています。

私は以前からA-FACTORYに関わっているので、今回は、新幹線開通やA-FACTORYが3周年なので、それに合わせて商品開発の人とイベントを考えるということを始めました。

開業3周年を迎えるA-FACTORY

------- A-FACTORYがガレットのアイディア募集しようと思ったのはなぜですか?

A-FACTORYは青森県産のりんごをふんだんに使ったシードルを工房として抱えています。ブルターニュ地方では、シードルとガレットを一緒に楽しむ習慣があり、A-FACTORYのシードル「AOMORI CIDRE」にはおいしいガレットを合わせようということで、弘前のオステリア エノテカ ダ・サスィーノさんにガレット専門店を出店していただきました。それが2階にある「Galetteria Da Sasino(ガレッテリア ダ・サスィーノ)」さんです。

本来ダ・サスィーノさんはイタリアンのお店なのですが、フレンチのガレットも提供するレストランになりました。

それで今回はダ・サスィーノの店長とシェフにもご協力いただき、青森県産品を使ったガレットの新商品のアイディア募集の後、商品化することになりました。

アオモリシードル

青森のおいしいりんごが凝縮された「AOMORI CIDER」。(スイート、スタンダード、ドライ)

-------とても大がかりですね。

そうですね。初めは1グループの指導と捉えていたのですが、森教授の方から2グループでどうでしょうかというご提案があったので、「イベント企画班」と「商品企画班」とに分かれて春から活動してきました。

一番初めにA-FACTORYにいらしているお客様から意見等を聞き、さいたま市に出店した6月の産直市では学生が首都圏のお客様へ様々なリサーチしてきました。産直市では、青森や青森県産品について首都圏の方はどう思っているのかを聞き、行動分析を行いました。二つの結果を踏まえて、「では実際何をしようか」と学生たちが考えました。中間発表会の7月時点では、「イベント企画班」はガレットに関することを考え、「商品企画班」は野菜を使った商品を考え、中間報告となりました。

弘大生presentsガレット試食会の様子

試食会の進行もこなす弘前大学経済学部3年生「イベント企画班」のみなさん

-------「時点では」というと、7月以降変更になったのですか?

初めは単純にガレットのレシピを募集する予定にしていたのですが、その後レシピのアイディアを募集することになり、応募用紙も作り募集しました。実際にはアイディアだけではなく、きちんとレシピを考えてきてくれた人もいました。

アイディア募集用に作った応募用紙。応募者のイメージするシーンを知る事ができる

-------企画を変更するのはとても勇気がいったのではないでしょうか。

そうですね。エルサーチでも、かつて青森県の素材を使った料理コンテストを過去2回開催しました。ひとつは首都圏の人、もうひとつは青森の人が応募できるというものです。その経験を学生に話をして、コンテストや企画を立ててもらいました。

ブログもつくり募集したのですが、最初はなかなか応募がなかったのですが、後半に盛り返したことで、最終60点のアイディアが届きました。

今回は応募してきた中からダ・サスィーノさんの店長に審査員長をシェフには審査員となっていただき、レシピとして実現できるかどうか、県産素材の使用率、アイディア性等について審査を行い、結果今回この3点が選ばれました。

左から「シャモロックと県産野菜のサラダガレットとりんごのスイーツガレット」「まるで津軽海峡冬景色」「ジャガイモとベーコンのX’masガレット」

-------こんなにアイディア豊富なガレットが揃ったら決めるのが難しいですね。

そうですね。今回のガレットはそれぞれイメージするシーンが全然違うので、試食会でも意見が分かれているみたいですね。明日もあるので投票結果がどうなるかはわかりませんのでとても楽しみです。

本格メニューとなるのは12月14日~期間限定のメニューの予定です。どのメニューになるのか、価格もまだ決まっていませんのでこれからですね。

もうひとつの弘前大学の学生たちのグループの「商品企画班」の方も今頑張って進めていまして、来年2月上旬には新商品として販売予定です。

2つのグループは共に本当によく頑張ってくれたと思います!

-------結果を楽しみにしています!ありがとうございました!

※※インタビューから一週間後、弘前大学のみなさんが作ったブログに試食会の結果が発表されていました!

結果発表はこちらをご覧ください⇒http://ameblo.jp/a-galette/entry-11701466584.html

受賞されたみなさん、おめでとうございます!

そして蒔苗さん、弘前大学のみなさん、本当にお疲れさまでした!

~あとがき~

今回The企画エルサーチの蒔苗さんにガレット試食会の取り組みのお話を聞くことができ、商品が出来上がるまでの試行錯誤や熱い想いに感銘を受けることが本当にたくさんありました。

学生さんと協働しながらの商品開発までの長い道のりや、青森から飛び出して他の地域から見える青森の話を聞いたり、さまざまなリサーチや企画の練り直しなど、商品化するまでたくさんの地道な努力があったことと思います。

そして、こうして晴れて形になるのは、蒔苗さんはもちろん、弘前大学の学生さんにとっても本当に感動する経験だったのだろうと思うと胸が詰まる想いです。

アピオスについて

蒔苗さんは、このような商品開発の他に野菜ソムリエの資格を活かして、青森県で育つアピオスやヤーコンの普及活動も行っているそうです。

「アピオスは滋養強壮がすごくて、食べると冬ポカポカになるんですよ。一回ゆでて冷凍庫に入れておくと、その都度取り出して使えるんです。ただ、一回に3個以上食べると鼻血が出ちゃうくらい滋養強壮に良いですよ(笑)身体が冷えやすい人には特にオススメです!」と語る蒔苗さん。

「アピオスには青森との縁があって、100年前にリンゴの苗木をアメリカから取り入れた時に根っこの土の中にアピオスが付いていたそうなんです。当時は「アメリカほどいも」という名前で、マメ科なんですがイモみたいにホクホクで、つぶしたりサラダにしたりして食べればとってもおいしいですよ。アメリカの原住民は身体がポカポカするということで、病気の人に食べさせたりしていたみたいですね。食べるとポカポカするのがすぐ分かりますよ!」

ヤーコンの普及活動

また、農薬を使わずヤーコンを育てている生産者さんの依頼で、普及活動の一環として野菜をおいしく普段の食生活に取り入れやすくするためのお料理教室を開いたりするなど、青森県各地で活動されています。

「ヤーコンってシャキシャキ甘くてとてもおいしいんですよね。食物繊維も豊富でお通じにも良いですし。切っておくと黒くなってしまうのですが、天婦羅とか食べ方はいろいろあります!」

ヤーコン料理講習会の様子

ヤーコン料理講習会の様子

野菜の効能や、由来の話をされる蒔苗さんのお話を聞いていて、とても楽しくワクワクした気持ちになりました。野菜を好きな方からお話を聞くというのは、こんなに楽しいことなんだな、と、普段の野菜を知ることに対する考え方が変わるお話でした。

2年掛かった商品開発

2012年と2013年の2年を掛けて、「福だより」というシリーズ名で上北地区で商品開発してたそうです。

商品化までの期間、なんと2年。

「シリーズで12品目あります。上北地区の県民局の方たちとそれぞれの産直のグループの方や個人の方、いろんなものが得意な人たちを集めて来て、統一感のあるパッケージングをして開発しました。味は本当にみんな一生懸命作り変えたりしたので、とてもいいものになっています。おいしいですよ。おかずになるようなものもありますし、漬物のもとになるものとか。お菓子ももちろんありますよ。」

福だより・野菜かりんとう

「“かりんとう”も3色入っていて、こぼう、にんじん、ほうれん草それぞれの味がしっかり出ていておいしいんです。生地の段階であと0.5ミリ細くとかもう少し平たくとか、それくらい細かいところまで作り直ししました。本来産直で売るものならば、そこまで手を込んで作ったりしないのですが、だから2年もの月日をかけてじっくり作りしました。その分思い入れもありますし、自信もあります。」

実際にA-factoryで販売されていた『カリッと野菜かりんとう』を食べてみました。

これが、本当においしいのです!

スーパーなどでべジチップスが最近売られていますが、こちらの商品は「野菜の濃さ」が全然違います。青森県産の野菜をふんだんに使い、素材の味がしっかり残っていて、噛みしめる度に野菜の香りと風味が広がります。

ひとつ食べるとボリボリ食べる手が止まらず、あっという間に食べきってしまいます。青森の野菜は、その豊かな自然環境からおいしい野菜が採れるので素材を活かした素晴らしい商品だと思いました。また、歯ごたえもちょうど良く、蒔苗さんの0.5ミリに掛ける熱意を改めて実感しました。

A-factoryにて販売されているそうなので、見かけたらぜひ食べてみてください♪

The企画エルサーチさんのモットー

「女性の意見を取り入れて、県産品を使った商品づくりをサポートしたい」と語る蒔苗さんの表情からは、生産者と消費者をつなげる力強い熱意を感じました。

こうして一般の人からアンケートなどをとり、よりよいサービスや商品開発に役立てていることや、ユーザーの声を聞くというのはあらゆる分野においても本当に大切なことだと感じます。

青森の発展のためにこうして活動する人や自分の住む地域に興味がある若い人が増えると、青森はもっともっと素晴らしくなる。そう思わずにはいられません。

青森の魅力では、このような素晴らしい取り組みをしている県内の方々を取り上げて、どんどん発信していこうと改めて思いました。

蒔苗さんのお話を伺ってから、地域が良くなるためのアンケート等には、今後積極的に参加したい想いと同時にみなさんにも、ぜひ参加していただきたいなと思いました。

「もっともっと青森ファンをつくろう」をモットーとし活動している企画エルサーチさんの、青森県産品を活かして商品開発をするという発想は、今青森県に必要とされているものです。
このような素晴らしい取り組みは、ぜひこれからもずっとずっと続けていただき、色々な方に広がることを願っています。

企画エルサーチさんの今後の活躍を楽しみにしています!

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