魅力No.2153


日常に溶け込む伝統工芸品とアート・雑貨@カネイリミュージアムショップ

カネイリミュージアムショップ

「八戸ポータルミュージアム はっち」内にある、東北の伝統工芸品やデザイン・アート書籍と雑貨を展開する「カネイリミュージアムショップ」。

株式会社金入オリジナルの南部裂織ステーショナリー「KOFU」の2013年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)受賞や、東北で見つけたものづくりの知恵を紹介する「東北STANDARD」代表をつとめるなど、今、青森に「郷土愛とモノづくり」の新しい風を吹き込んでいる株式会社金入の金入健雄さんにカネイリミュージアムショップについてお話を聞きました!

金入健雄氏

金入健雄(かねいり たけお)氏
東京銀座の老舗文房具店・伊東屋での5年間の修業を経て、八戸に帰郷。株式会社金入・代表取締役社長。東北のものづくりを取材・紹介する東北STANDARD代表。

伝統工芸品と文房具

----------編集室:カネイリミュージアムショップは、今までの「カネイリと言えば文房具屋さん」というイメージからまた違った切り口で魅力を紹介しているという印象があるのですが、どのようなコンセプトで運営されているのでしょうか。


金入:志を共にする工芸家・デザイナー・アーティスト・クリエイターの皆さんと、郷土の工芸品や文化を、地元の人も県外から来た人も、自然に楽しめるような場づくりを目指すという事です。
郷土で生きる事が「おもしろい」「かっこいい」と思ってもらえるような所まで行ければと考えています。

---------- 編集室:今までの運営と具体的にどう変わりましたか?そもそもどのような経緯で展開することとなったのでしょうか。


金入:八戸ポータルミュージアム「はっち」のオープンにあたり、ミュージアムショップのコンペの上、開店となりました。
文房具、書店の流通業としてのノウハウを生かし、社会的な意義を重視したコンセプトを中心に置いて展開しています。当時アートやデザイン・工芸への注目がそれ程高くなかったこの街でミュージアムショップを成立させる方法を考えました。
厳しい市場環境の中でも、大手のフランチャイズショップに負けないような・どこにも無い、且つデザイン・アートを扱うショップとしても納得できるコンセプトです。
そこで出てきたのが、この地域にしかない工芸品やお土産、クリエイターとの協業という要素を組み合わせる事、「街の誇り」を目指すという方向に行き着きました。

編集室:はっちの中でもカネイリミュージアムショップの存在感はひと際大きいですよね。飾りとしてでなく、日常に溶け込むような伝統工芸。「街の誇り」をより強く感じます。

八戸ポータルミュージアム「はっち」

カネイリミュージアムショップが出店している八戸ポータルミュージアム「はっち」
(写真:魅力No.1487 「八戸の魅力、いかずきんズが教えます!」より)

伝統工芸品の魅力とその価値を伝える

青森県の伝統工芸品である八幡馬、南部裂織、こぎん刺し、ブナコから南部鉄器、会津張り子の「あかべこ」「願い玉」など県外の伝統工芸品も多数取り扱っている。

---------- 編集室:カネイリミュージアムショップで取り扱っている商品はどのように選ばれているのでしょうか?


金入:商品のセレクト基準と伝え方の方法があると思うのですけど…例えば自分で基準を設けて、この範囲の中からはみ出たものは扱わないとか、これより以下のものは良くないものだっていう感じでは選んでなくて、どっちかっていうとセレクトショップっていうよりかは、コミュニティショップを実現したいと思っています。
単純に言えば、それを作っている人の想いなどに、自分が共感できるかどうかを大切にしています。
物そのものより、共感を重視したくて…。

雑貨たち

伝統工芸品が並ぶ棚の向かいには、かわいい文房具・雑貨たちが並ぶ

編集室:「共感を重視」…想いがあるものに人が集まってくるのですよね。とても素敵です!


金入:そうなんです。そういう人が集まってくる空間を作りたいなと思っているのです。
これが自分の中のセレクト基準になるかなぁ。
まず自分が 作り手のストーリーを理解して、それを欲しい人に届ける。そういう「本物」を求めている人のために、代わりに買っておくって感じですかね。


----------編集室:では伝統工芸品の魅力を伝える時にどういうことを重視していますか?


金入:伝え方は、ふたつの方法を意識しています。
ひとつは、『東北STANDARD』では、工芸品の伝統などの歴史的背景や、職人さんの想いや生き様を約2分半の映像にまとめて伝える方法です。

東北STANDARD(http://tohoku-standard.jp/)より

----------編集室:もうひとつの方はどんな方法ですか?


金入:もうひとつの伝え方は、ビジュアルよりポジショニング的なことです。これは、販売する場所づくりで実現しています。
例えば100円ショップで津軽塗りが置いていたって、ストーリーが伝わらないから売れないですよね。だから、これまでは百貨店の上部階のような、然るべき場所で販売されてきた。商品のジャンルを品質や金額で分けられていて。
でも、自分はそれとも違う方法があると考えているのです。当社が展開しているミュージアムショップではひとつのコンセプトを掲げていて、デザイングッズやアーティストグッズ、工芸品を、しかも公共施設なんかの人が集まる場所で、デザイン雑貨の隣に並べたりしている。これ自体が、ひとつのメッセージで自分なりの伝え方なのですよね。

工芸品のすぐ近くには作り手の職人さんを写真付きで紹介。
弘前市 木好房 DAIROKU 大湯浩之さん大湯建太郎さんの「CUBEE」

大鰐町 わにもっこ 山内将才さんの「木のボウルセット」

金入:POPやプライスカードの並べ方というよりも、ミュージアムショップというもので工芸品を売るということ自体が挑戦であり新しい伝え方かな。地元の人とお土産品が欲しい観光客とも分け隔てせず、「良いものを求める人に提供できる場所」にしていきたいと考えています。

編集室:お金で分けるのではなくて、感覚というか共感具合で分けているってことですね。


金入:はい。そこがメッセージであり、伝え方になっているのです。

グッドデザイン賞受賞・南部裂織「KOFU」

---------- 編集室:グッドデザイン賞受賞おめでとうございます!グッドデザイン賞を受賞した「KOFU」の魅力を教えてください。


金入:kohuは、はっち4Fに工房を構える伝統工芸士の井上澄子先生と共に製作した新しいステーショナリーです。元々は先生の工房にあった「こたつ掛け」のデザインに感動して、これをステーショナリーにさせてもらえたらと思い製作しました。
何百年も続く「裂織」という伝統工芸に流れる東北の生きる知恵と可能性を感じてもらえたら嬉しいです。一つ一つ手間を掛けて織られた商品ですのでぜひ手に取って確かめて頂きたいです。

カネイリミュージアムショップのこれから

仙台メディアテークにあるカネイリミュージアムショップ6

----------編集室:2012年1月、仙台にも「カネイリミュージアムショップ6」をオープンされて、今後も飛躍的な拡大が予想されますが、これからどのような展開を考えていらっしゃいますか?


金入:「東北STANDARD」の活動などで東北の奥深さを勉強しつつ、5年後10年後に誰からも、東北のライフスタイルってかっこいいね、といって貰えるようにショップとしては、東北各地の仲間や共感して頂ける方と共に拡がりをもって展開していきたいです。


編集室:今後のご活躍楽しみにしています!ありがとうございました!


~あとがき~

伝統工芸の魅力について語る金入健雄氏

金入健雄さんのお話は郷土愛にあふれていました。
地元の職人さんの魅力に着目し、それを元々持ち合わせているノウハウと絡める。そしてより伝わるようコンセプトや売り場、伝える方法などさまざまな工夫を施し伝統工芸の素晴らしさを伝える―。

「伝統工芸品=近寄りがたいもの」ではなく、身近なものとして展開することにより一般の消費者の日常にすっと溶け込み、伝統の誇りを多くの人に伝え未来につなぐ。
その社会的意義・役割をカネイリミュージアムショップが担っているのということをひしひしと感じました。

実際にショップに足を運んでみると、金入健雄さんの掲げるコンセプトがそのまま再現されていました。
伝統工芸品のすぐ近くに雑貨があり、アート書籍があり、地元で売り出している商品がある。

今までは高級品で馴染みがないとされる伝統工芸・アートが雑貨などとひとつとなりカネイリミュージアムショップ独自の世界観が出来上がっていました。
ひとつひとつ眺めているとほっこりとした職人さんのモノづくりへの愛情にふれ、伝統工芸品の奥深さを感じることができます。

なにより素晴らしかったのが「伝統工芸品の良さを自分が感じ自ら発信して魅力を伝える」という金入健雄さんの一貫した姿勢でした。自らの五感に共感したものを愛情を持って伝える事の大切さを改めて学ぶことができました。
そしてそうした想いの人が増えることにより、また新たに多くの人の心へ伝統工芸品を伝え、浸透させていくことができる、これからの将来の無限の可能性が広がるのだと思います。

お話を聞いているととても刺激になり、編集室としてまた青森の魅力を見つけたいという衝動が沸きました。同じ地域に住んでいることがとても心強いです!

まだカネイリミュージアムショップを訪れた事がない方は、ぜひ一度足を運んでみてください。きっとモノづくりの温かさにふれられるはずです。

これからのカネイリミュージアムショップの活躍を楽しみにしています!

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東北STANDARDや伝統工芸、地域活性についての対談もあります!
ぜひこちらもご覧ください。
魅力対談005「青森の魅力×TOHOKU STANDARD PROJECT」
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カネイリミュージアムショップ

〒031-0032 青森県八戸市三日町11-1 八戸ポータルミュージアム1階
【TEL】 0178-20-9661
【FAX】 0178-20-9662
【営業時間】 10:00〜19:00
【休日】毎月第2火曜日、12月31日、1月1日
【HP】http://www.kaneiri.co.jp/shop/

青森県八戸市三日町11−1

カネイリミュージアムショップ6

〒980-0821 宮城県青葉区春日町2-1メディアテーク1F
【TEL】 022-714-3033
【FAX】 0178-20-9662
【営業時間】 10:00〜20:00
【休日】毎月第4木曜日、12月29日から1月3日

宮城県仙台市青葉区春日町2−1

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